腰痛

腰痛を引き起こす原因のうち「筋肉」が該当する腰痛の存在を知っていますか? みなさんこんにちは。笹塚トレース整骨院の石垣です。腰痛といえば神経や骨に問題があるというイメージが強いと思います。しかし整骨院の腰痛治療の現場では「筋肉」への施術で大きな改善がみられることも珍しくないのです。今回は筋肉が原因で引き起こされる腰痛について解説していきます。

筋肉が原因の腰痛は「原因不明」と診断される?

腰痛を引き起こす原因を探るとき、多くのケースではレントゲンやCT、MRIといった病院での「検査」を実施します。これらの検査では骨や神経の問題を画像やデータで身体の内部の状態を可視化することができます。つまり表面からは目に見えない、細かな異常を見つけ出すことができます。しかし「筋肉」の異常を見つけ出すことはできません。ここでは腰痛を引き起こす原因として「筋肉」が見過ごされている現実について解説します。

(a)筋肉が原因の腰痛は、病院の検査で「異常なし」

ぎっくり腰などの腰痛で病院を受診したにもかかわらず、検査で「異常なし」と診断を受けることがあります。正確には「骨や神経には異常が見当たらない」という意味です。また多くの腰痛は炎症で腫れたり、赤みを帯びたりといった外見上の見た目にも異常が現れません。このとき、病院側は「可能性の話」をします。可能性として「軽いヘルニアかもしれません」「骨と骨の間が少し狭くなっている」というような説明です。患者の側も「原因不明」ではなく、一応でも「原因がある」と説明されたほうが納得します。病院の側からすると原因が明確であっても、そうでなくとも実施する処置としては大きく変わらないので、患者が「納得できる」説明をおこなうことが現実です。

(b)原因不明に含まれる「筋肉」の問題

腰痛を引き起こす原因として「筋肉」の可能性が残っているにも関わらず、検査で異常が見当たらないという理由で多くの腰痛は「原因不明」として処理されます。さらにはヘルニアや狭窄症の可能性を指摘されることで「諦めるしかない腰痛」「しばらく安静に過ごして回復を待つ腰痛」「病院では根本的な処置のない腰痛」という”治らない腰痛”が出来上がります。病院での検査で異常が見つからない場合、あたかも「治療の方法がない」といった結論に至りがちです。または痛み止めを服用して「とりあえずの腰痛」を軽減させる対処療法を実施して自然回復を待つという方法です。「筋肉」が原因で引き起こされる腰痛が「原因不明」として処理されることの問題点は”思考停止”です。原因が存在するにも関わらず、原因不明として処理されると、その後に取るべき腰痛改善への方法がとられることなく放置されてしまいます。「ヘルニアだから腰痛は仕方がない」「骨がずれているから腰痛は治らない」という認識は、筋肉が原因で腰痛を引き起こしている可能性を秘めていると考えを改めましょう。

筋肉が原因の腰痛と判断するポイント

腰痛の原因を判断するには専門知識が必要です。あなたの腰痛の原因が「筋肉」であると安易に自己判断するのはオススメしません。ここでは病院での診断や処置を前提とした、筋肉が原因で引き起こされる腰痛の考え方について解説します。

(a)各種検査で「問題なし」の診断

上述のように「筋肉」が原因の場合、検査では異常が見つかりません。反対に病院での検査で骨や神経に異常が確認された場合は病院での適切な処置が必要です。まずは検査で骨や神経の内部構造に問題がないことを確認することが重要です。腰痛の痛みが極端に強い、足にピリピリとした痺れを感じる場合は複数の病院を回り多角的に判断するくらいの慎重さが必要です。

(b)病院での治療で改善がみられない

病院での検査で明確な原因が見つからないとしても病院では湿布や痛み止め薬が処方され、安静にする指示が出されます。ときにはリハビリテーションや腰を引っ張る牽引(けんいん)も実施されます。このような処置を指示通りに実行しても腰痛に大きな改善がみられない場合は、筋肉が原因で引き起こされている可能性を視野に入れる段階です。病院での処置は主に骨や神経へのアプローチです。つまり病院での処置で大きな変化がない場合、消去法として筋肉が原因である可能性が残ります。筋肉へのアプローチを検討する際は病院側と相談した上で話を進めるようにしましょう。

筋肉が原因の腰痛を改善するための3つのポイント

筋肉が原因で引き起こされていると判断できた腰痛の改善には3つのポイントがあります。これは施術をおこなう筆者の考えるポイントです。すなわち施術をする側の視点です。筋肉が原因と考えられる腰痛の改善を希望するケースは、臨床の現場では遭遇することが多く、改善の難易度も比較的高くありません。腰痛の原因が筋肉にあるという視点の有無が問題です。ここでは筋肉が原因で引き起こされる腰痛の改善に必要なポイントについて解説します。

(a)筋肉の「硬さ」の比較

腰痛と筋肉の関連において、筋肉の「硬さ」は重要なポイントです。2つの視点があり、1つ目は筋肉が「硬すぎる」ことです。例えば右側の腰に痛みがあるとして、ほかの背中やお尻、ハムストリングス(太ももの裏側)の筋肉と比較して右側の筋肉が異常に硬すぎる場合はその硬すぎる筋肉が治療ポイントになります。筋肉が「硬すぎる」という感覚は腰痛を抱える患者本人は認識していないことがほとんどです。つまり治療をおこなう筆者の側からすれば一目瞭然の筋肉の硬さでも、患者本人が認識していないのです。また患者本人は右の腰が痛むと認識しているとして、実際には右の腰よりも少し下の「お尻」に硬すぎる筋肉があるケースではこのお尻が治療のポイントです。 2つ目の視点は、筋肉が悪い意味で「柔らかすぎる」ことです。通常、筋肉は硬いことが悪い状態で、柔らかいことが良いとされています。しかし筋肉が原因で引き起こされる腰痛には悪い意味で柔らかい筋肉が腰痛の原因になることがあります。この場合の「柔らかい」とは「体幹を支えるために必要な筋肉の緊張が不足している」ことを意味しています。1つ目のポイントは反対で、痛みのある腰の筋肉の部分が「柔らかすぎる」状態になっているケースです。この場合、上記の「不足している緊張を補ってあげる」ことが必要です。つまり腰全体として筋肉の緊張状態を「均等」にすることで、腰痛の改善が期待できます。これも患者本人はほとんど認識できていません。このように腰やその周りの筋肉の硬さの比較することで治療ポイントがみえてきます。

(b)腰以外の筋肉へのアプローチ

筋肉が原因で引き起こされる腰痛の改善には、腰以外のアプローチも重要です。腰痛の改善を目的としながらも、腰の筋肉にアプローチすることなく改善できるケースも多くあります。実際の腰痛治療の現場では腰以外の「背中」「お尻」「ハムストリングス」のアプローチが優先されます。なぜなら痛みのある腰を触れることなく、腰痛の改善が可能だからです。骨や神経に異常がなく、湿布や痛み止め薬が効かない腰痛のほとんどは背中、お尻、ハムストリングスの筋肉へのアプローチで大きな改善がみられます。これも患者本人は認識していないことが多く、施術で筋肉へのアプローチを受けることで「腰痛と背中、お尻、ハムストリングスが関係している」と理解します。反対に背中、お尻、ハムストリングスの筋肉の状態を調べることで腰痛の程度を推測することが可能です。腰痛を抱える患者の背中、お尻、ハムストリングスの筋肉は非常に硬くなっており、治療でアプローチをしても痛みが伴います。それでも背中、お尻、ハムストリングスの筋肉へのアプローチによる効果を考えれば、治療対象とすべき価値は十分にあると考えます。

(c)身体全体の「姿勢」へのアプローチ

身体全体の「姿勢」へのアプローチが必要となる腰痛は比較的重症度が高い場合が多いです。上記2つのポイントを実施したうえで、なお痛みが残る場合に必要なポイントです。身体全体の姿勢にアプローチする段階では「腰痛の痛み」よりも腰に関連する「動き」の改善が主な目的となります。患者が腰に関連した動きの「不安感」「不安定感」を訴える際に効果的で、背中の猫背が強いひとや腰椎の前湾(ぜんわん:腰骨の反り具合、カーブ)が強い場合にオススメです。上記2つのポイントの延長線上で、太ももの前面と内側、外面の筋肉にアプローチを実施します。太ももの筋肉だけでなく、股関節周辺にもアプローチします。これは骨盤と直接連結している筋肉へのアプローチを意味します。腰痛を抱えるひとは、腰痛を軽減する姿勢、悪化させないための姿勢を「無意識」のうちにとります。つまり腰痛という痛みだけをアプローチするのではなく、身体に染み付いてしまった歪んだ姿勢の改善に役立つアプローチです。

筋肉が原因で引き起こされる腰痛には、上記で解説したように多くの改善ポイントが存在します。誤った認識で「もう治らないかもしれない」と諦めているなら、ぜひ筋肉へのアプローチを受けてみることをオススメします。

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