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【実例紹介】足の甲の痛みで疑うべき「股関節の硬さ」とは

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足の甲 痛み

足の甲の痛みは実に奥が深いです。みなさんこんにちは。笹塚トレース整骨院の石垣です。本メディアでも複数の記事をupしていますが足の甲の痛みは複雑に複数の要因が絡んで発生している場合があります。足の甲の痛みを繰り返し経験している方に向けて原因追究の考え方について解説します。

(a)外部要因

足の甲の痛みは身体に問題がなくとも、単純に「長時間歩き過ぎた」や砂浜や砂利道など「歩きにくい地面を歩いた」といった場合でも起こります。また「歩きにくい靴」「サイズが大きい靴で歩いた」なども外部要因として該当します。外部要因による足の甲の痛みは一時的なので外部要因が取り除かれれば時間の経過と共に解決します。

(b)足の甲に問題がある場合

足の甲に問題がある場合、その原因は主に足首の曲げ伸ばしを担う前脛骨筋と足の指の曲げ伸ばしを担う長趾伸筋が疑われます。これらは足首の「背屈動作」と足の指の「伸展動作」を長時間繰り返すことでそれぞれの筋肉の付着部である「足の甲」に痛みが発生します。

(c)膝関節に問題がある場合

膝に問題がある場合、その原因は主に「膝に痛みがある」場合です。膝に痛みがあると膝をかばってなるべく「痛くないように歩く」ようになります。このとき、前項で記載した足首の背屈動作と足の指の伸展動作がなかば強制されるような状態となり、この状態で日常生活を送ってしまうことで足の甲が痛くなります。足首を捻挫した際に無理して歩いてしまう状況も同様の環境となります。

(d)股関節に問題がある場合

股関節の問題に関しては後半で詳細を記載しますが、股関節を構成する筋肉による硬さの影響により「歩幅」に左右差が生じることで足の甲に痛みが発生します。特に、すでに股関節に痛みを抱えている状態では「跛行」という歩く際のフォームにも影響を与えます。

(e)歩き方に問題がある場合

歩き方に問題がある場合は主に「外反母趾による親指の付け根の痛み」「踵を地面に擦って歩く」など特徴的な歩き方のフォームが原因で足の甲が痛くなります。歩き方は以前から習慣化されたフォームなので、患者さん自身に問題意識が薄い場合が多い傾向にあります。歩くという動作は本来、踵から地面に着地して、土踏まずを経由しながら重心を移動させ、最後につま先で地面を蹴る、という足首の「曲げ伸ばし」が伴うのが正しい動きです。しかし踵を地面にこする歩き方や膝を上げないで「すり足」のようにあるくと足首の「曲げ伸ばし」が行なわれず、下腿と足首が直角を維持した歩き方になります。下腿と足首が直角を維持していると上述した前脛骨筋と長趾伸筋が酷使される結果となり足の甲に痛みが発生します。

(f)腰に問題がある場合

腰に問題がある場合は主に腰の片側に痛みがあるケースで問題になります。腰の片側に痛みがある場合は、痛みのある側に筋肉的な硬さが存在していることがあり、この筋肉の硬さの「偏り」「歪み」により歩き方が乱れて、股関節、膝関節、足首を影響が波及して足の甲に痛みが発生します。

(g)背中に問題がある場合

背中に問題がある場合は主に「側弯」の存在による影響です。側弯は背中の片側が極端に緊張したり筋肉的な硬さや偏りが存在している状態です。つまり姿勢良く歩けない状態です。これにより腰、股関節、膝関節、足首に影響が波及して足の甲が痛くなります。

(h)足にマメや靴擦れがある場合

足にマメや靴擦れがある場合、その痛みで正しく歩けなくなります。またマメや靴擦れの接触部位に刺激を与えないように歩くと「(b)足の甲に問題がある場合」で記載したように足首の直角を維持したまま歩くことになり前脛骨筋と長趾伸筋の酷使につながります。マメや靴擦れによる痛みを抱えたまま、痛みを我慢して長時間歩いた際に足の甲が痛くなります。

足の甲の痛みは「結果」であるという視点

足の甲の痛みは外部要因と足の甲の問題以外の要因では間接的な二次被害による影響を強く受けます。つまり足の甲以外の要因が時間の経過をへた結果として足の甲が痛くなるのです。

(a)足の甲が痛み出した経緯

筆者が足の甲の痛みを診る際は、痛みが発生した「経緯」を必ず確認します。足の甲の痛みが「結果」であると仮定した場合、そこには痛みが発生するまでの経緯が存在します。この経緯の部分を解明しないことには問題の根本解決には至らないからです。実例として挙げますと右足の甲が痛くなる前に、左の膝が痛かった、そして左の股関節が昔から硬く、ときおり痛みを感じることがある、という経緯です。この実例でいう足の甲の痛みは右の股関節の問題から始まり、次に左の膝関節に波及して、最後に結果として右の足の甲に痛みが出た、と分析できます。

(b)他の部位の痛みの有無

この実例でいうと、患者さん本人は足の甲の痛みと、過去に感じていた左膝の痛み、そして普段から気になっていた右の股関節の痛みが関連しているとは考えていません。股関節と膝と足の甲の痛みが同時に発生していれば関連が疑うこともできます。しかし時系列的に時間差があり、関係ないと認識しているケースがほとんどです。外部要因と足の甲に問題があるケースを除いては、足の甲の痛み以外の痛みにも注目して関連を探る必要があります。

(c)過去のケガの有無

足の甲の痛みでは過去のケガも考慮しなければなりません。例えば10年前のケガで現在は痛みもなく完治しているとしても、足首の重度の捻挫やアキレス腱の断裂、ふくらはぎや太ももの肉離れ、膝関節の靭帯断裂、股関節の脱臼など歩き方や関節の動きに影響を与える可能性のある要因は関連を疑います。

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股関節に起因する足の甲の痛みの対処法

実例のような股関節、膝関節、足の甲の痛みという一連の流れによって痛みが発生している場合、下記のような順番で改善を目指します。

(a)まずは足の甲の痛みを改善する

根本原因が股関節であると想定した場合でも、足の甲の痛みを引き起こしているのは主に前脛骨筋と長趾伸筋です。この二つの筋肉へのアプローチで痛みそのものは大部分が改善されます。外部要因や足の甲に問題がある場合のケースでは治療自体がこれで終了になることもあります。マッサージで的確に前脛骨筋と長趾伸筋の筋腹と腱を刺激することができれば数回の治療で終了です。

(b)次に股関節、膝関節の問題を解決する

足の甲の痛みが結果であり、そこに至るまでの経緯が存在する場合は根本原因にアプローチします。股関節や膝の痛みが昔のケガや先天的な要因による場合は改善までに時間がかかりますが、単純な筋肉の硬さや可動域制限程度の問題であれば比較的早期改善が可能です。患者さんによっては筋肉の硬さや可動域制限を自身で行うストレッチで改善を試みる場合がありますが、マッサージで筋肉の硬さを見つけ、可動域制限の原因となっている箇所を的確に刺激するほうが効率的です。

(c)最後に歩き方のフォームを修正する

最後に歩き方を確認します。問題がなければ治療を終了しますが、歩き方のフォームの改善が必要な場合は歩行訓練を実施します。歩き方、地面への足の着き方、足の動かし方、歩幅、リズムの「癖」を見つけます。靴底の擦り減り方を見て癖を探るのもオススメです。歩き方に問題があって足の甲が痛い場合、足の甲の痛みだけを解決しても歩いているうちに再び痛みが出現してしまいます。必ず足の甲の痛みの根本原因を解決しなければなりません。

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足の甲の痛みの原因を探る際の注意点

足の甲の痛みの原因を探る際には下記の点を意識しましょう。

(a)根本原因の自覚がない

先述のように、足の甲の痛みと股関節、膝関節の痛みに関連があるという自覚を患者さん自身は持っていません。また過去のケガが影響しているという視点も乏しいのが現実です。足の甲そのものに原因があるのか、それとも外部要因によるものなのか、それとも過去のケガ、以前感じていた痛みが波及したものなのか、自覚の有無に関わらず時系列で原因を探ることが大切です。

(b)問題を認識することが難しい

筆者が、足の甲の痛みについて時系列に沿って分析して見解や仮説を伝えると患者さんも納得して理解することができます。しかし歩き方のフォームや癖、先天的な要因(側弯や股関節脱臼の既往など)は習慣化されているので「それが当たり前」の状態です。つまり問題を指摘されても患者さん自身が認識、理解することが難しいのです。このような場合は歩き方を映像や写真を撮って客観的事実として現状の問題点を理解することが望ましい方法です。

(c)過去に遡って要因を探す

足の甲の痛みは過去のケガ、その回復度合いなど現在に至るまでの経緯にヒントが隠れています。過去の事だから関係ない、もう痛みもなく完治しているから問題ない、と考えるのは正しい思考ではありません。特に足の甲の痛みが出現したり消失したりを繰り返している人は過去に遡って、過去に発生した要因に対して治療的アプローチを試みることが大切です。

(d)根本原因を改善しないと再発を繰り返す

足の甲の痛みであっても根本原因が背中、腰、股関節、膝といった他の要因によって引き起こされている可能性があります。根本原因が他に存在する場合は、足の甲だけを治療しても再発を繰り返すことになります。必ず根本原因に対して治療をおこないましょう。

足の甲の痛みはその原因によって改善までの難易度が違います。単純な原因によるものなのか、過去の要因によるものなのか、時系列で問題を分析することが必要になります。足の甲の痛みでお困りの方はぜひ参考にしてください。

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