歩行時の痛み

【真髄】正しい歩き方より「歩き方の癖」を見つける方法4選

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歩き方

正しい歩き方とは何か。みなさんこんにちは。笹塚トレース整骨院の石垣です。日々の治療の中で難しいと感じるポイントの一つに「歩き方」があります。それは治療で痛みを取り除いても、歩き方が正しくないと再び痛みがぶり返してしまう点です。試行錯誤を繰り返すうちにたどり着いた解は、一般的な正しい歩き方よりもその患者さんが持つ特有の「歩き方の癖」を直すことでした。一般的な正しい歩き方は全ての患者さんにとって正しいとは限らず、反対に各患者さんの身体の状態に合った、患者さんなりの「正しい歩き方」が存在するように思えてなりません。そこで今回は歩き方の癖を見つけて、症状の改善に役立てる方法について解説します。

(a)歩幅

左右の脚の「歩幅」は同じであることが基本です。つまりは「1歩」の距離ですが、例えば足首を捻挫したり膝が痛い時の歩き方は左右の脚の歩幅は変化します。痛みをかばうように歩くと必ず歩幅には変化が出ます。つまり痛みが存在すると正しい歩き方は実現されないのです。

(b)リズム

歩く時の「リズム」は一定であることが基本です。地面から足が離れるタイミング、地面に足が着地するタイミング、など一定のペース進むのが正しい歩き方です。これは歩く時の「足音」で判断できます。歩く時のリズムは歩幅の乱れと連動して崩れます。自分の足音を聞いてみて、一定のリズム(音)であるかどうかを確認してみましょう。

(c)足裏の着き方

足裏の動きは①踵から地面に着地し②土踏まずを経由して③つま先で地面を蹴る、のが基本の流れです。正しくない歩き方は「踵を引きずる」「足の裏全体で着地してつま先で蹴れていない」などです。膝が上がっていない歩き方やペンギンのようにペタペタと歩くのは「正しい歩き方」が出来ていない証拠です。

「身体の歪み」と「歩き方」の関係

身体の歪みと歩き方はお互いに大きく影響を受け合う関係です。歩き方の改善は、身体の歪みの改善が大前提となります。

(a)歪みがあると正しく歩けない

人間の身体には多少なりとも歪みが存在します。問題はその「程度」であり、歪みそのものを重大に捉える必要はありません。しかし歪みの影響が大きいと考えられる場合、歩き方にも多大な影響を与えてしまいます。歪みと歩き方の関係を例えるなら「長さの違う竹馬で歩く」ようなものです。非常に歩き難いことが想像できると思います。

(b)正しくない歩き方が当たり前に

幸か不幸か、人間の身体は長さの違う竹馬でも上手に乗りこなしてしまうように創られているようです。少しの痛みで歩けなくなってしまうようでは生命維持が困難になってしまうわけですが、結構な痛みでも無理して歩けてしまうことが歪みの存在を成立させてしまっているわけです。つまり歩き方が正しいか正しくないかよりも、歩くことが優先されているが故に、正しくない歩き方が当たり前のように定着してしまうのです。

(c)関節や筋肉に痛みが

正しくない歩き方が当たり前となった状態は、例えるなら「4本ある車のタイヤのうち、1本のタイヤがパンクした状態で走っている」となります。つまり4本のタイヤでバランスを取りながら走行するように設計されている車が、パンクによってバランスを欠いた状態で走り続けているのです。当然、フレームの一部に過剰な負荷がかかったり部品同士の連結箇所に軋みが生じます。人間の身体で言えば関節や筋肉にダメージを受けることを意味します。

身体の歪みが歩き方を狂わせ、正しくない歩き方が新たな歪みを生み出すという悪循環を断ち切ることが正しい歩き方への第一歩となります。これは主に整骨院や整体で「歪みを改善する」というステップです。歪みの改善は下記で解説しますが、患者さんの自助努力だけで改善することが難しく、客観的に歪みの存在を分析して対応します。

「身体の歪み」と「痛み」の関係

上記でも少し触れましたが、身体の歪みと痛みはお互いに悪影響を与えます。

(a)「歪みと痛み」は「原因と結果」

例えば膝に痛みがある場合、痛みは結果であり、原因は身体の歪みであると考察します。患者さん側からすれば「痛みを取りたい」わけですが、施術者側からすれば根本原因である「歪み」の改善が重要であると考えます。結果である痛みだけを改善しても、原因である歪みが残っていれば痛みは再発することが容易に想像できます。膝が痛い状況をさらに放置した場合、歪み(=原因)、痛み(=結果)の順番が逆転します。今度は痛み(原因)によって正しくない歩き方となってしまった結果として新たな歪みを発生させてしまうという悪循環は上述の通りです。

(b)歪みは永続的、痛みは一時的

身体の歪みと痛みは互いに影響し合うことで負の連鎖が定着します。歪みの発生と痛みが連続的に繰り返されるわけですが、歪みは永続的であり、痛みは一時的であるという特徴があります。人体の仕組み上、痛みという感覚は永続しないようにできています。それは足首を捻挫した時のように「痛くないように歩く」だったり感覚神経の「慣れ」だったりするわけですが、多くの場合、痛みの感覚が消失した時点で「治った」と認識されます。しかし歪みは残っている状態です。歪みが残っているにも関わらず、痛みが消失したことで「治った」と認識してしまう点に、歩き方の改善の難しさの本質が隠れていると感じます。

(c)痛みは認識できる、歪みは認識できない

痛みという感覚は、当然ながら患者さん自らが認識できる感覚です。故に、改善が必要であると患者さん自身が理解できます。しかし大抵の「歪み」は患者さん自身が認識できません。上述のように、痛みの感覚が消失した時点で「治った」と認識してしまうので、同時に歪みも改善されたと考えがちです。しかし自分自身の歪みはほとんど認識できません。ちなみに歪みの認識は難しいですが、歪みが改善されたことは認識が可能です。

「歩き方」と「痛み」の関係

痛みの存在は歩き方に大きな影響を与えてしまいます。痛みという感覚は、強い痛みでないとしても放置すれば何かしらの影響を受けると理解してください。

(a)痛みがあると正しく歩けない

歩行に関わる股関節、膝、足首の関節部分、またはこれらの関節を動かす筋肉や腱に痛みが存在すると、歩き方に影響を受けます。痛みの程度にもよりますが、その痛みがたとえ「違和感レベル」であったとしても、無意識のうちに少しでもその痛みや違和感を軽減させるための反応を起こします。痛みや違和感を軽減させるための反応が「痛くないように歩く」であり「正しくない歩き方」なのです。関節や筋肉に痛みが存在する時、多くの患者さんは「痛いけど歩けるから大丈夫」「我慢できるレベルの痛み」という解釈で痛みを放置してしまいます。この誤った解釈が、身体の歪みを生む原因となります。

(b)正しく歩けないと身体が歪む

「痛みはあるけど、歩けるから平気」という誤った解釈によって痛みが放置された場合、正しく歩けない状態が放置されているのと同義であり、身体の歪みが進行します。例えば右足首を捻挫して痛みがある状態を想定すると、なるべく右足に体重を乗せないように歩くことになります。そうすると反対の左脚にかかる負担が増え、左脚一本で上半身を支える時間(タイミング)も増えます。2本の脚で支えていた上半身を左脚1本で支えるには上半身を左に傾けてバランスを取らなくてはなりません。これによって上半身が歪みます。また連結部分である股関節や土台となる骨盤も歪むことになります。歩けるから平気という認識を改め、正しくない歩き方を1秒でも短縮させることが歪みを防止すると理解しましょう。

(c)「痛くない歩き方」が定着してしまう

上述の通り、痛みという感覚は次第に薄れていきます。痛みが消失すれば正しくない歩き方から正しい歩き方に戻ると考える方もいるかもしれませんが、痛みが放置された場合の歪みはしっかりと残っています。やはり「痛みという感覚が消えた」に過ぎないのです。この時点では、仮に正しい歩き方をしたとしても再び痛みの感覚が出現する可能性が高いと思います。痛くない歩き方が定着してしまうと、自力で、または自然治癒力による改善は困難になります。早期に痛みの改善にアプローチし、正しい歩き方を取り戻すことが大切です。

歩き方の癖を見つける方法4選

歩き方の癖を見つける目的は、自分自身で認識することが難しい「正しくない歩き方」を可視化することです。歪みの改善は整骨院や整体などのマッサージによる改善が手っ取り早いですが、同時に自分自身で歩き方の癖を見つけ、認識し、改善に向けた試行錯誤をすることが「正しい歩き方」への道なのです。

(a)靴底

靴底の「擦り減り具合」で歩き方に癖があるのかどうかを判断できます。パターンは3つで①踵部分が擦り減っている②靴底の外側が擦り減っている③靴底の内側が擦り減っている、です。正しい歩き方であれば一部分が擦り減るのではなく、全体が均等に擦り減っているはずです。

(b)歩幅、リズム、足裏の着き方

上述の通り、歩幅とリズムが左右の脚で同じかどうかが判断のポイントになります。歩幅とリズムに関しては下記で解説する内容を参考にしてください。足裏の動きは①踵から地面に着地し②土踏まずを経由して③つま先で地面を蹴る、が基本です。足裏の着き方は意識的にトレーニングを継続することで「身に付ける動き」です。ペンギン歩きにならないように注意し、膝を挙げて足首の関節の曲げ伸ばしが伴うような歩き方を身に付けましょう。

(c)ポケットのコイン

ズボンのポケットにコイン(小銭、鈴など音が鳴る物)を入れて歩きます。最初は両方のポケットにコインを入れて歩きながら「音」を聞きます。左右のポケットから同じ「音」が聞こえればOK、さらには「音が鳴るタイミング、リズム」も同じかどうかを確認します。歩き方の癖がある場合は「音」の鳴り方やリズムが左右で異なるはずです。左右でポケットの「音」が違う場合、今度は片方のポケットにコインを入れて「音」を確認します。この記事では省略しますが、この「音」の鳴り方と「筋肉や関節の硬さ」を比較することで歩き方の癖の存在を確かめるだけでなく、癖の原因となっている関節や筋肉を特定していきます。この作業は具体的に歩き方の癖を特定して改善していくステップになりますが、患者さんと施術者が一緒になって取り組むことが必要になります。

(d)1分間足踏み

歩行ではなく足踏みを1分間おこなうと、歩き方の癖によって少しずつ場所がズレていくという現象が確認できます。足の着き方、リズムが左右の脚で同じであれば場所がズレることはなく、開始と終了の位置は同じポジションになるはずです。

この記事は歩き方の癖を見つける方法について解説しています。具体的な改善方法は記事化することが難しいとおもいますが、臨床の現場ではこの記事の内容を参考にして改善に取り組んでいきます。腰痛や関節痛がない場合は、歩き方の癖を見つける作業は必要ないと思います。しかし身体の歪みがある、歩くことで筋肉や関節に痛みを感じる場合は「歩き方の癖」を改善する必要があります。

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