よくある痛み

正しいフォームが大事?! 腰痛を予防する安全なスクワットとは

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スクワット 腰痛

スクワットの正しいフォームは目的によって諸説あります。本記事では「膝をつま先より前に出しても良い」「お尻を極端に突き出さない」といった「腰や背中」への負担を軽減させることを目的にスクワットを行うことを推奨しています。どのようなトレーニングであっても、身体を痛めてしまうようでは本末転倒です。

日常で簡単にできるトレーニングとして知られるスクワットですが、一方で腰痛の引き金としても有名です。今回は、なぜスクワットが腰痛を引き起こしてしまうのかについて、身体、腰痛といった整骨院の視点から解説します。

スクワット 腰痛

(a)中腰姿勢の反復運動

腰痛を引き起こす原因として「中腰姿勢」があります。ぎっくり腰を代表として腰に負担をかけるのが中腰姿勢です。しかもスクワットは中腰姿勢から立ち上がるという一連の動きをおこなうので腰には負担となります。これが10回、20回と繰り返されることを考慮すると、腰痛を引き起こしても不思議ではありません。

(b)腰や背中の筋肉による代償運動

スクワットはお尻や太ももを鍛えるトレーニングですが、十分に発達していないお尻や太ももの筋肉を補うには腰や背中の筋肉です。特に筋トレ初心者であれば「お尻や太ももを意識した動き」が難しく、無意識のうちに腰や背中の筋肉を代償的に使って立ち上がり動作をしてしまいます。本来は使用してはいけない腰や背中に負担がかかるので、継続しているうちに腰痛を引き起こしてしまうのです。

(c)お尻、太ももと腰痛の関係性

逆説的ですが、腰痛の治療において「お尻と太もも」の筋肉へのアプローチが必須です。マッサージ施術でお尻や太ももの筋肉に柔軟性を与えた結果として腰痛が改善されます。つまり腰痛の改善や予防には「お尻や太もも」の筋肉をいかに良い状態にできるかどうかが重要になるのです。腰痛とお尻や太ももの関係性を考えるスクワットというトレーニングは腰とって必ずしもプラス効果を生むとは限りません。

正しいフォームに潜む問題点

お尻や太もものの筋肉を効率よく「効かせる」ことはもちろんですが、腰痛やケガの予防においてもフォームは重要です。ここでは正しいと言われるスクワットのフォームと、腰痛の関連について解説します。

(a)膝の位置

一般的なスクワットであれば「膝をつま先より前に出さない」ことが正しいフォームといわれています。これはお尻や太もものの筋肉にしっかりと負荷をかけるためです。実際にこれを意識してスクワットを行うことで実感できますが、太ももの筋肉に大きな負荷がかかります。筋肉量によっては膝の関節を痛めてしまうほど大変な負荷です。

(b)お尻の位置

スクワットでは膝をつま先より前に出さないように意識すると、その分「お尻を突き出す」ような姿勢をとることになります。膝の位置とお尻の突き出しはセットで意識することでお尻や太もものの筋肉に負荷をかけることができます。お尻を後ろに突き出す姿勢は身体の重心が後方に移動します。この姿勢を維持するためには上半身の重心を極力前方へと傾ける必要があります。これは腰を曲げた「中腰」の姿勢であり、腰や背中の筋肉に強い緊張を強いることにつながります。

(c)背中の角度

スクワットのスタートポジションである「腰を落として」「膝を曲げて」「お尻を突き出す」の状態では、バランスを維持するために背中はすでに大きく反っている状態です。体形や筋肉量によっては背中の「反り」はより強くならざるを得ません。腰に不安を抱えるひとであれば、この姿勢を維持するだけでも腰に痛みを感じることがあります。

スクワット 腰痛

お尻や太もものの筋肉を鍛えるトレーニングとして役立つスクワットですが、身体の構造や腰痛との関連で考えると腰を悪くさせてしまう要因が多く存在する側面が強いといえます。

スクワット初心者にオススメな「エアチェア」のメリット

スクワットは誰でも簡単におこなえるほどやさしいトレーニングではありません。実際、スクワットで腰痛を引き起こす事例は数多くあります。そこで安全に行えるトレーニングについて解説します。

(a)エアチェアとは

エアチェアとは「空気イストレーニング」です。腰を落として膝を曲げるといったスクワットのスタートポジションを、一定時間キープすることでお尻や太もものの筋肉を鍛えるトレーニングです。トレーニングとしての負荷量は自身で簡単に調節が可能で、身体にとって負担にならない強度を自身で見つけることもできます。

スクワット 腰痛

(b)関節の反復動作がない

エアチェアの最大のメリットは「関節の反復運動がない」という点です。通常のスクワットであれば足首、膝関節、股関節、腰椎、背骨、頸椎といった部分に「動き」が必要です。これを何度も繰り返すスクワットは負担が蓄積し、痛みの原因となります。一方でエアチェアは「動き」はまったくありません。姿勢を崩すことなく、同じ姿勢をいかに長くキープできるかが重要です。トレーニングにおいて「反復運動がない」ことはケガの予防や安全性の観点からも非常に大きなメリットです。

(c)実用性のある筋肉の発達

スクワットは筋肥大を狙うトレーニングのため、コンタクトスポーツであるバスケットボールやラグビーなどの競技で頻繁に行われています。一方、エアチェアは登山やトレイルランニングといった持久力を要する競技において取り入れられています。登山やトレイルランニングはとてもハードはスポーツです。急坂を何度も行き来し、足元の悪い状況の道でもバランスを保ちながら足を動かし続ける上で、お尻や太もものの筋肉は非常に重要です。このようなハードなスポーツでもエアチェアによるトレーニングは役立ちます。しかも登山やトレイルランニングの競技者は「カモシカのように細い脚」をしています。つまり見た目にも美しい脚を手に入れることができるのがエアチェアのメリットです。

(d)腰痛を予防できる

腰痛を抱えるひとにエアチェアをオススメする理由は「腰痛の予防」です。上述の通り、反復運動がないためぎっくり腰を引き起こすような危険はほとんどありません。またエアチェアの姿勢は「上半身は真っすぐ」なので腰や背中にかかる負担も比較的少なくて済みます。そもそも、腰痛を抱えるひとがスクワットをおこなうのは悪化の可能性が高く推奨されません。しかし腰痛の原因が「筋力不足」と考えるひとにとって「スクワットによる筋力強化が腰痛改善につながる」を解釈している場合があります。腰痛改善の観点から考えるとスクワットはマイナス要因の方が多いトレーニングであり、慎重な判断が必要です。

スクワットというトレーニングとしてのフォームの正しさと、腰痛を予防するという視点での正しいフォームは違いがあることを理解しましょう。

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