よくある痛み

腰痛が治らない人が知るべき恐ろしく深い腰痛の世界とは

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治らない 腰痛

原因不明の腰痛、そして治らない腰痛で悩む方に向けて解決に向けての情報をまとめました。みなさんこんにちは。笹塚トレース整骨院の石垣です。臨床の現場では腰痛といっても明確な原因がわからない腰痛、そしてどんな治療や検査を受けても改善に至らない腰痛が存在します。そんな「治らない腰痛」の1つである”筋緊張低下による腰痛”について解説します。

(a)腰椎ヘルニア

背骨と背骨の間にあるクッションが本来の位置から逸脱し、それが神経を圧迫することで起こる腰痛です。重症例では手術の適応となります。

(b)腰椎分離症

主に中学から高校まで成長発育期の年代に発症する病態で、成人を迎えると骨の形成が固定され、症状も落ち着くことが多いですが、適切な処置をしないと成人後の慢性的な腰痛へと移行することが多い腰痛です。

(c)坐骨神経痛

腰痛部分、臀部の筋肉、下肢のいずれかの箇所において坐骨神経が圧迫を受けて発生する神経性の腰痛です。

(d)ぎっくり腰

重い荷物を持ち上げた際や前かがみになったタイミングで発症する急性腰痛です。発生原因が明確で、適切な処置と安静を保持することで次官の経過と共に改善するのが一般的です。

(e)慢性腰痛

強い痛みではないものの、鈍い痛みや重だるさが継続する腰痛で、初期のころは一時的であるが次第に永続的な腰痛へと発展する傾向が強いのが特徴です。

(f)腰部脊柱管狭窄症

腰の脊椎で構成される脊柱管が通常よりも狭くなることでおこる腰痛です。症状の程度により手術の適応となりますが、軽症の場合は運動やストレッチが推奨される腰痛です。

(g)筋性腰痛

レントゲンやCTなどの検査では異常所見が認められないが、筋肉の極度の緊張や硬さにより腰に痛みを感じる状態です。上記のような、明確な診断名が付かない腰痛の場合に疑われる原因で、運動やストレッチ、マッサージで改善が可能です。

治る腰痛の特徴

治る腰痛は診断名が付くような、つまりは原因が明確な腰痛のことを指します。

(a)診断名が付く腰痛

診断名が付く腰痛は、レントゲンやMRIなどの検査で器質的な異常が認められる腰痛を指します。つまり「どこかが壊れているから修理する」といった発想で元の状態に戻してあげれば改善が可能です。

(b)原因が明確な腰痛

腰痛を発症した原因が明確な場合は改善が可能です。運動により瞬発的な動きをした、重い物を持ち挙げた、前かがみになったときに腰を痛めた、などです。安静を保ちながら時間の経過を待てば自然に回復しますし、マッサージなどのアプローチで早期改善も可能です。

(c)腰痛歴が浅い腰痛

多くのひとが「軽症の腰痛は放置する」傾向にあります。これが腰痛を慢性化させてしまう大きな要因ですが、このような状態が長期間に及ぶと「治りが悪くなる」わけです。腰痛は初期に治しておくことが将来の慢性腰痛の予防につながります。

医学的に診断名が付かない腰痛の存在

医学の範疇において、異常が認められないにも関わらず、腰に痛みが出ることがあります。

(a)病院では「何かしらの診断名」が与えられる

腰痛になったとき、病院にいくと「軽いヘルニアかもしれない」「坐骨神経の可能性がある」などと原因を特定していないにも関わらず、それらしい診断名が与えられます。患者側も、原因不明では不安を感じてしまうし医師の側もヤブ医者と思われたくないという背景から便宜的に診断名がつけられる現実があります。

(b)レントゲン、CTなどの検査では判断がつかない

この記事で扱う「治らない腰痛」はレントゲンやMRI検査では判断が付きません。画像や数値には現れない「筋肉の張り感、緊張、硬さの違いや異常」をもとに判断する必要があります。画像や数値に現れない異常は「触った感触」「経験」によってしか判断ができず、画像や数値で異常を判断することを専門とする医師には「判断が難しい腰痛」となります。

(c)痛み止めやコルセットは効果薄

腰が痛いとはいえ、生活に支障を来すレベルの重症なケースでもない限り、手術が選択されません。つまり多くの病院では「安静にする」「運動療法」「湿布」「コルセット装着」などの方法が選択されるわけです。しかしこの記事で取り上げる「治らない腰痛」は痛み止めやコルセット装着といった方法では改善が難しいのが現実です。逆説的にいえば、あなたの腰痛が痛み止めやコルセット装着などを実施しても改善が認められない場合は、下記で解説する「治らない腰痛」である可能性があると判断できます。

治らない腰痛の確認方法

治らない腰痛には下記のような共通点があります。

(a)腰痛歴は関係ない

上記では腰痛歴は短いほど改善が期待できると説明しました。しかし「治らない腰痛」は本人が自覚していないケースが多く存在します。つまり「自覚がないだけで以前から腰に問題があった」という状態です。これは筆者の場合だと「経験値」や「過去の症例」との比較で判断しますが、治らない腰痛を抱える患者のほとんどが腰痛歴の長さを感じさせる「身体の悪さ」が存在します。あなたが「自分は腰痛持ちではない」とおもっていても「身体の状態は悪い」といったケースでは腰痛歴は参考になりません。

(b)自覚の有無は関係ない

上記でも解説しましたが、例え腰痛の発症が比較的最近であったとしても「治らない腰痛」を発症している可能性があります。治らない腰痛は比較的、長期間腰痛を放置した結果として発症するイメージが強いかもしれません。実際、筆者もそう考えていました。しかし最近になって診た症例では半年前まで腰痛の自覚がなく、元気に筋トレまでしていたという患者のケースがありました。自覚がないにも関わらず、初めての腰痛が「治らない腰痛」といったケースは決して少なくないのです。

(c)左右の腰やお尻の筋肉を触り比べる

あなた自身がセルフで「治らない腰痛」を確認する方法として「左右の腰やお尻の筋肉を触り比べる」がオススメです。例えば「右の腰には硬さがあるが左にはない」「左の腰だけ押すと痛みが感じられる」などです。一か所だけを触っても「その筋肉が正常なのか異常なのか」を判断することは難しいと思いますので、必ず左右を比較して触り比べてみましょう。

(d)筋肉が柔らかい

筆者が「治らない腰痛」かどうかを判断する材料として「悪い意味で筋肉が柔らかいかどうか」があります。通常であれば筋肉は柔らかければ良い状態、硬ければ悪い状態と判断します。しかし治らない腰痛では本来筋肉が持つ「緊張」が低下した状態が確認できます。つまり一見すると筋肉が柔らかくて問題がないように感じますが、上半身を支えたりバランスを保つために必要な筋肉の緊張が低下した状態は治らない腰痛の特徴と考えることができます。

治らない腰痛の特徴

治らない腰痛の特徴には下記のようなものがあります。

(a)筋肉の緊張が抜けている

上述したように、筋肉には身体を支えたりバランスを取るために必要な「緊張」が存在します。これは抗重力筋である脊柱起立筋が、不眠不休で活動している状態と同じ概念です。つまり感覚的に「休んでいる」「筋肉を使っていない」としても完全に脱力している状態というのは皆無で、一定程度の緊張が筋肉には備わっており、例えば不測の事態や緊急反応時の反射が円滑に行なわれるように筋肉の緊張を維持しています。

(b)背中の筋肉が硬い

治らない腰痛は腰の筋肉の緊張が低下している一方で、相対的に背中の筋肉はガチガチに硬くなっている傾向にあります。これは私見でですが、腰筋肉の緊張低下を補う目的で背中の筋肉を強化しているイメージです。また結果論ですがこのガチガチの背中の硬さを緩和させてあげることで腰の筋行くの緊張が回復し、治らない腰痛にも改善が認められる傾向にあります。

(c)お尻の筋肉の状態

背中の筋肉がガチガチに硬いのと同様に、お尻の筋肉もガチガチに硬い傾向にあります。やはり緊張が低下した腰の「支え」を補強するようにお尻の筋肉がガチガチに固められているイメージです。お尻の筋肉が低下した腰の補助を担っている状態では、殿筋は肥大、膨張した触感となり骨盤周辺のボリューム感が強化されます。健康な人との比較では一目瞭然ですが、ご自身の骨盤周辺のボリューム感が強化されているかどうかは客観的に判断してもらう必要があるかとおもいます。

(d)ハムストリングの状態

お尻の筋肉と同様に、腰の筋肉の緊張低下を補うようにハムストリングスの筋肉もガチガチに硬くなります。また太ももの内側に位置する内転筋も同様にガチガチの硬さとなり、マッサージなどによる刺激では強い疼痛が発生します。しかし患者自身には硬さの自覚がありません。腰の筋肉の緊張低下と相対的に発生する背中、お尻、ハムストリングスの硬さは身体が無意識に起こす「腰を守るための反応」であると考えられます。それ故、患者自身にはほとんど背中、お尻、ハムストリングスの硬さの自覚症状がなく、腰を守るために必要な反応であると脳は認識していると理解できます。

(e)患部のマッサージで悪化する

治らない腰痛は患部である腰をマッサージして、腰の筋肉を緩めてしまうと多くのケースで悪化してしまいます。「腰が痛くてマッサージを受けたら悪化した」という場合はこのケースの可能性があります。治らない腰痛では「すでに筋肉の緊張は低下している」状態です。つまり筋肉は(悪い意味で)軟らかいのです。これをマッサージでさらにほぐす(さらに緊張を低下させる)行為は症状の悪化につながります。またマッサージを受けているのになかなか改善しないと感じている場合は「治らない腰痛」である可能性があると考えられます。

治らない腰痛の治し方

さて、ここに至るまでに散々「治らない腰痛」と記載してきましたが、ちゃんと治る方法があります。

(a)セルフでは厳しい

通常の「腰痛」であれば時間の経過や安静を保つことで自然と改善されていきます。しかし「治らない腰痛」である”腰の筋肉の緊張が低下した腰痛”は自然治癒は難しいといえます。その根拠は上述の通り、腰の筋肉の緊張が低下し、その筋肉の低下を補うように背中、お尻、ハムストリングスの筋肉がガチガチになった状態であるが故に「すでに腰の限界を超えている」からです。もちろん、時間の経過によって「痛みの感覚」は緩和されていきます。しかし腰がすでに限界を超えている以上、再発と緩解を繰り返しながら腰の筋肉の緊張低下と、背中、お尻、ハムストリングスの硬さは徐々に強化されていく運命にあります。

(b)筋肉の緊張を取り戻す

この「治らない腰痛」の改善目標は「低下した腰の緊張を取り戻す」ことです。筋肉の緊張は神経によってコントロールされているため、改善には時間がかかります。また神経そのものに直接アプローチする方法もありません。低下した腰の緊張を取り戻すには、腰の緊張が低下してしまったプロセスを逆に辿っていく方法が有効です。詳しくは次項で解説します。

(c)硬い筋肉をほぐしてバランスを取り戻す

この「治らない腰痛」の本質は「低下した腰の緊張」と「ガチガチに硬くなった背中、お尻、ハムストリングスの硬さ」であると考えられます。また低下した腰の緊張に至るプロセスは、失われた腰の緊張を補うために背中、お尻、ハムストリングスの筋肉がガチガチに硬くなった「結果」です。これらを考慮すると現在に至るまでのプロセスを逆方向に辿ることが必要です。つまり「背中、お尻、ハムストリングスのガチガチになった筋肉を軟らかくし、低下した腰の緊張を取り戻す」ことが改善への道となります。この考え方は「治らない腰痛」に対して実際に取り入れているもので、治らない腰痛から治る腰痛へと実績もあります。腰と、背中、お尻、ハムストリングスの筋肉の緊張と硬さに大きなギャップがある状態から、全体として緊張と肩さが均等になるように調整します。背中、お尻、ハムストリングスの筋肉の硬さを緩和させると、徐々に腰の緊張が回復するのです。

(d)治療期間は数カ月

治らない腰痛の治療期間は治療頻度にもよりますが、おおよそ数カ月単位になります。最短で一ヶ月、最長でも3カ月程度のケースが多い傾向にあります。通常の腰痛に比べれば長い期間が必要になりますが、決して治らない腰痛ではありません。

(e)時間はかかるが完治可能

治らない腰痛は、本人に自覚がない期間も含めると腰痛歴は10年を超えると考えられるケースがあります。それだけ長い期間をかけて悪化し続けた腰痛を改善するにはやはり時間がかかります。腰痛を改善するというよりも「体質を変える」ようなイメージです。それゆえに治らない腰痛の改善は時間もコストも必要になります。しかし完治は十分可能です。時間とコストを天秤にかけて腰痛改善を検討すると良いでしょう。

(f)シンプルな治療法は存在しない

この「治らない腰痛」がなぜ治りにくいかといえば、それは筋肉の硬さや身体がアンバランスな状態にあるからです。左右で筋肉の硬さが異なる、身体の動かし方が異なるといった器質的な問題だと考えられます。一時的に可動域を広げる反射テクニックや鎮痛剤による痛みの緩和は、これらの器質的問題を何一つとして解決に導きません。人間が本来持つ、左右差の無い筋肉の状態、偏りのない身体の動きを取り戻すことが治らない腰痛を解決へと導きます。

治らない腰痛は、患者さんご本人が自身で判断することが難しく、なぜ自分の腰痛は治らないのかと悩み続けるケースが多くあります。色々な施術や治療を受けても改善しない場合は、「腰の緊張が低下した腰痛」の存在を疑ってみると良いでしょう。

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