よくある痛み

腰痛を自分で改善する! あなたの腰に優しい姿勢の見つけ方

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る
腰痛 姿勢

腰痛を改善したり予防したりする姿勢に「正解」はありません。なぜなら腰痛を患うひとの状況は一人ひとり違うからです。しかし傾向として「パターン化」することは十分可能です。筆者が腰痛治療の現場で実際に使う、患者さんにとって腰に負担をかけない姿勢の見つけ方について解説します。

ぎっくり腰のように、明確な原因やきっかけが存在するケースを除くほとんどの腰痛は「姿勢」が関係しています。どのような姿勢で痛みが出るのか、どんな姿勢が腰に負担をかけるのかについて解説します。

(a)「姿勢」が引き起こす腰の痛みは”慢性腰痛”

姿勢が悪いことで引き起こされる腰痛は「慢性腰痛」と呼ばれます。毎日の生活や仕事の中の「姿勢」に問題があり、正しい姿勢を維持できないことで半永久的に腰痛と付き合うことになります。慢性腰痛は痛みや可動域制限に一時的な「波」があるもの、劇的に改善したり急激に悪化することがほとんどありません。それ故、根本原因や抜本的な改善策を見出しずらいのが慢性腰痛の特徴です。

(b)姿勢の悪さによって「疲労」が蓄積

あなたの姿勢が悪いとはいえ、一日や一週間で慢性腰痛になるわけではありません。姿勢が問題となって引き起こされる腰痛は「疲労の蓄積」が大きい要因です。腰に負担をかけるとわかっていても仕事でやらざるを得ない、まさか腰に負担がかかっていたとは思っていなかったなど状況は様々です。不慣れな行動がきっかけで引き起こされる「ぎっくり腰」とは異なり、習慣化した「腰に負担をかける姿勢」によって疲労が蓄積して腰痛が引き起こされます。姿勢の改善は疲労の蓄積を軽減することになり、腰痛改善には重要なポイントとなります。

腰痛 姿勢

(c)仕事や生活の中の「姿勢」を見直す

腰痛改善には仕事や日常の「姿勢」を見直すことが必要です。 ・座っているときの足組み 座っているときの足組みは腰痛を引き起こす非常に強い要因となります。 ・立ってるときに片足に重心を乗せる 立ってるときに片足に重心を乗せる癖のある場合も注意が必要です。 ・正座を崩した状態で斜めに座る 女性に多い要因として床に座るときに正座を崩した状態で斜めに座る習慣が腰痛を引き起こします。 ・睡眠時の姿勢 睡眠時、うつ伏せや横向きで寝る習慣も腰痛の原因になります。 筆者は患者さんに多くの質問をおこない、仕事や生活習慣について聞くことで「これが腰痛の原因ではないか」「このときの姿勢が腰痛を引き起こしているのではないか」と推察します。しかしそれでもすべての状況を把握できるわけではありません。姿勢を見直すことは、腰痛を患うあなた自身が自ら実行することで効果を最大限に発揮することを理解しましょう。

間違った「姿勢」の探し方

次に、姿勢を良くするために、姿勢の改善に効果的とされている対策の効果のほどについて解説します。

(a)筋トレ

姿勢が悪いことで引き起こされる腰痛の改善に「筋力不足」を考えるケースがあります。筋力不足を補うように筋トレに励むことは決して悪いことではありません。しかし、この筋トレがかえって腰痛を悪化させている可能性を考慮することが必要です。腰の痛みを我慢して筋トレに励むケースもあります。ここで重要なのは、筋トレをして筋肉が十分にあるひとでも腰痛を引き起こす点です。また反対に筋トレをしていない、やせ型体形でも腰痛にならないひとがいます。このような現実を考えると、筋トレが姿勢を改善し、腰痛を改善するという考え方をすべての腰痛のケースで当てはめてしまうのは無理があると言わざるを得ません。

(b)硬いマットレス

寝具として「硬いマットレス」が腰痛を改善するといわれています。しかし上記同様に、すべての腰痛に硬いマットレスが有効かといえばそうではありません。マットレスの硬さや沈み込みによって「睡眠時の姿勢を楽に」と謳われていますが「あなたの」身体の姿勢にとって楽かどうかは実際に試してみないと判断できません。もっといえば、マットレスの「硬さ」「沈み込み」といった単純な要素だけでは解決できないかもしれません。マットレスに限らず、枕の高さに関する良し悪しの考え方はそのときの時代によって変化しています。筆者の場合は患者さんの身体の状態に合わせて「足を少し高くする」「背中にクッションを入れて少し高くする」などのアドバイスをおこないます。それでもすべてのケースに当てはまる考え方ではありません。また腰痛がないひとにとってはマットレスの重要性はさほど高くありません。つまり腰痛を引き起こす姿勢の改善にマットレスがどの程度の影響があるのかについては一概に判断できないのです。

(c)腰にクッション

デスクワーク時の姿勢を改善するために、椅子の背もたれと腰の間にクッションを挟むという考え方があります。専用のグッズなどもあり実際にに活用している人も多いのではないでしょうか。実際に使用して、姿勢や腰痛の改善を実感できている場合は問題ありません。しかし腰にクッションを挟むことは「反り腰」を引き起こす原因となります。また腰痛のタイプによっては、腰を丸める(猫背のようなイメージ)姿勢が腰に負担のかからない姿勢を作り出せることもあります。あなたの腰痛が「反り腰タイプ」の場合は、背筋を伸ばして無理に姿勢を正すことがかえって腰痛を誘発する可能性があります。つまりどのような「姿勢」がどのような「腰痛」を引き起こすのかという考え方が重要になります。

あなたの腰痛を改善する正しい姿勢の見つけ方

あなたの腰痛の原因が「姿勢」にある場合、問題となる姿勢を「探す」ことが必要です。ここでは腰痛を改善する正しい姿勢の見つけ方について解説します。

(a)腰が痛くない状況を探す

腰が痛いときは「痛む瞬間」「痛む動き」に意識が集中しがちです。しかし正しい姿勢を見つけるためには「痛みのない状態」を細かく調べることをオススメします。痛みのない状態とはつまり「無意識」の状態です。あなたが無意識にとっている姿勢が「痛みのない状態」であれば、「痛みのない状態」を維持するときの「姿勢」こそがあなたの身体にとって「正しい姿勢」と考えることができます。例えば「痛みがないときにどんな座り方をしているか」「仕事で荷物を持っているときは痛むが休みの日は痛くない」「横になってテレビを見ているときは痛むが横になってストレッチしているときは痛くない」などです。このように「痛みのない姿勢」を身体に覚えさせることが正しい姿勢を見つけるヒントになります。「痛いとき」と「痛くないとき」の違いを分析することが大切です。

(b)腰が痛む「直前」の行動

腰痛は問題となる姿勢のときだけに痛みが出るとは限りません。例えば「ジムで腕立て伏せをしているときは腰が痛くないが、トレーニングを終えてストレッチをしようとして腰を曲げると痛む」「ランニング中は腰が痛くないが、翌朝起き上がると腰が痛む」などです。また「筋トレをしているときは痛みがないが、その翌日から3日間は腰が痛む」なども同様です。直前といっても数時間から数日の「タイムラグ」があります。痛みの出ているタイミングでみると「ストレッチ」「寝起き」「原因不明」と考えてしまいがちです。しかし実際には「腕立て伏せのときの姿勢」「ランニングのときのフォーム(姿勢)」「筋トレのときの姿勢」が腰痛の原因となっている可能性は十分にあります。腰痛の原因と実際に痛みを感じるタイミングにタイムラグが存在することは決して珍しくありません。痛みの感じるタイミングだけに原因を求めるのではなく、腰に痛みを感じる直前におこなっていた行動や姿勢にも原因が潜んでいることを理解しましょう。

姿勢が原因で引き起こされる腰痛は、原因となる姿勢の特定が難しい場合があります。また痛みの出るタイミングによって間違った原因を見出してしまうこともあります。筆者が臨床の現場で感じるのは、痛みの出るタイミングや動作にばかりにフォーカスしてしまうことで本質的な原因が見えにくくなっているケースが多く存在するということです。姿勢の改善を意識して試行錯誤しているにもかかわらず、おもうように改善しないと感じる場合は少し視点を変えてみることをオススメします。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

キーワードを入れてください

記事に基づいた施術の相談