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寝違えは冷やすべき? 様々な対処法について考察してみた

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寝違え 冷やす

首を寝違えたとき、その痛みからすぐにでも解放されたい一心で対策を調べます。しかし寝違えに対する解決策は多くの考え方が存在します。あなたの寝違えに適した対策が見つかるように様々な対策について解説します。

(a)病院での見解

初めて寝違えを経験するひとや痛みが強い場合には「病院にいく」という判断をするとおもいます。寝違えで病院を受診した場合、レントゲン検査を実施し骨に異常が無いかを確認します。骨に異常がない場合、寝違えを引き起こす可能性として「ストレートネック」「猫背」「肩こり」などの説明を受けることが多いようです。あとは湿布を処方されて様子をみるという流れになります。

(b)整骨院での見解

寝違えで整骨院に行くと急性期捻挫の対処法であるRICE(安静・冷却・固定・挙上)に基づいて対処がおこなわれます。主に炎症による痛みであると判断し、アイスパックなどで患部を冷やして電気治療、軽くマッサージや鍼治療をおこない、テーピングで固定します。このような処置を数日継続することで寝違えの痛みを沈静化させていくという流れになります。

(c)痛みの種類

首の寝違えは「頸椎捻挫」という言葉で表現されることが一般的ですが、寝違えという現象そのものが、西洋医学において解明されていません。寝違えに伴う痛みの種類には「炎症による痛み」「神経による痛み」「血行不良による痛み」「筋肉の硬さによる痛み」など見解は様々です。痛みの種類が特定されていないが故に、対処法としての「冷やす」「温める」などの判断がバラバラになっているのが現実です。

(d)寝違えが回復する過程と期間

首の寝違えは時間の経過と共に改善されていくのが一般的です。つまり放置していても痛みは少しずつ消えていきます。数日で痛みが消えることもあれば1ヶ月以上痛みが継続することもあります。ときには短期間のうちに再発を繰り返すこともあります。放置して自然回復を待つか、積極的に治療を受けて回復を早めるかどうかの判断は痛みの程度によって変わります。

(e)寝違えが起こりやすい状況

首の寝違えが起こりやすい状況には一定のパターンがあります。「徹夜が続いていた」「アルコールを飲んだ翌日」など寝違えの直前に要因が存在します。また「虫歯で歯が痛い」「うつ伏せで寝てしまった」などもよく聞かれる要因です。つまり普段よりも疲労が溜まっている状況や首や肩の筋肉が硬くなるような要因が存在する場合は寝違えを誘発することになります。

寝違えたときに推奨される対処法について

首を寝違えたときの対処法は状況によって判断されます。しかし自身で寝違えの状況を分析して対処法を判断することは簡単なことではありません。

(a)冷やす

首の寝違えの際に「冷やす」のは「炎症の痛み」が存在しているという考え方が根拠になっています。実際に炎症が起きているかどうかは賛否が分かれますが、首を動かさなくてもジンジンと痛むような場合は冷やすことで痛みの感覚を軽減することができます。寝違えの初期に痛みが強い場合に検討すべき対処法が「冷やす」となります。反対に、寝違えの初期以降は冷やすことが悪影響になる場合がありますので注意が必要です。

(b)温める

首の寝違えの際に温めるのは血行不良や筋肉の硬さによる痛みという考え方が根拠になっています。血行不良や筋肉の硬さは温めることで改善され、痛みの緩和につながります。動かさなければ痛くない程度の軽めの寝違えや寝違えの初期以降の痛みが落ち着いた状態で検討すべき対処法です。寝違え初期の痛みが強い時期に温めをおこなうと痛みが強く感じられることがありますので注意が必要です。

(c)ストレッチ

首の寝違えの際に「ストレッチ」をおこなうのは硬くなった筋肉による痛みという考え方が根拠になっています。寝違えの痛みを我慢して無理にストレッチをおこなうのではなく、痛みのない範囲でおこないます。ただし実際は寝違えの痛みで首を動かすことは難しく、あまり現実的ではありません。また多くの寝違えは「動かすと痛い」状態なので、いくら筋肉を軟らかくするといってもストレッチはあまりオススメできません。

(d)マッサージ

寝違えの際に「マッサージ」をおこなうのは硬い筋肉による痛みであるという考え方が根拠になっています。一般的には、寝違えに対してマッサージは否定的な意見が多い印象です。なぜ否定的なのかを考えると、痛みが「炎症」によるものという考え方が根底にあると考えられます。つまり炎症が起きている痛みに対してマッサージは好ましくないということです。ですので寝違えに対する多くの対処法として「冷やす」ことが推奨されているのです。

(e)固定

寝違えの際に固定をおこなうのは「動かすと痛い」という状況への対策になります。つまり安静にするということです。痛みを極力少なくする対策は重要ですが、時間の経過を待って自然治癒を待つ対策となりますので、他の対策と併用して実施するのが良いでしょう。

寝違え事例から考える寝違えの特徴とは

柔整師である筆者が多くの寝違え事例を診て感じる特徴について解説します。

(a)早期治療がオススメ

寝違えは「放置していれば治る」という認識が強く、寝違えてから数週間経過してから整骨院に訪れるひとが割と多くいます。つまり放置しても自然治癒しないケースです。このようなケースは施術をしても時間がかかることが多い傾向にあります。一方で寝違えた当日や翌日に施術をするケースではその場で改善できることがほとんどです。つまり「放置した分、治りが悪くなる」ということです。

(b)肩こり持ちは重症化

寝違えにおいて、普段から肩こりを抱えているひとと、そうでないひとでは重症化に違いが現れます。普段から肩こりを抱えているひとは痛みや可動域制限が強く、完治までも時間がかかります。つまり普段から肩こりをケアしておくことが寝違えの重症化を予防することにつながります。また寝違えを繰り返している場合、自然治癒により改善したと思っていても痛みだけが消えた状態で実際の筋肉の状態は硬いままであることもあります。

(c)ソファーでの睡眠は鬼門

寝違えの発生要因のうち、よく聞かれるのが「ソファーで寝てしまった」というものです。ソファーに限らず、普段とは異なる睡眠環境で眠気に任せて勢いで寝てしまうケースでは寝違えが発生しやすい傾向にあります。また枕やマットレスを新調したタイミングなどの寝違えが起こりやすい状況です。

(d)疲労の蓄積は発生要因になる

仕事やレジャーなどで身体に疲労が蓄積した状態は寝違えが起こりやすい傾向にあります。徹夜が続いた、睡眠不足など身体が十分に休養をとれていない状況は筋肉の硬さやこわばりが普段よりも強い状態です。

(e)病態は非常にシンプル

「寝違え」という状態はレントゲン検査では異常が見つからない病態です。つまり寝違えのほとんどでは骨や神経に問題がないのです。にもかかわらず強い痛みを出す原因は「筋肉」にあります。では寝違えの状態において筋肉がどのようになっているかといえば「硬くなっている」「緊張している」といったシンプルな病態です。これらはマッサージや指圧など様々な方法によって解消することができます。どのような方法、手段であっても寝違えの多くは「筋肉を緩める」だけで改善ができるようなシンプルなものなのです。

寝違えの痛みに対して「冷やす」をはじめとした様々な方法論がありますが、結局は筋肉の緊張や硬さを取り除いてあげることができれば一定の効果は期待できます。冷やすかどうかの判断も一時的な状況を考慮する場合の方法であり、最終的には温めてあげることが筋肉の柔軟性につながります。ぜひ参考にしてください。

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