慢性的な痛み

五十肩の治し方は3つだけ! あなたに合った方法の見つけ方

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五十肩 治し方

五十肩は加齢とともに発症するリスクが高くなる肩の痛みです。しかし現在、その原因については分かっていないことも多く、治療法も手探りだったり、対症療法だったりと確立された考え方がありません。今回は五十肩の治し方として3つの選択肢を解説し、改善や再発の防止に必要な情報についてまとめます。

五十肩 治し方

(a)自然治癒を待つ

五十肩は炎症による痛みや可動域制限などの症状が強くなったり、弱くなったりを繰り返します。つまり一時的に「良くなった」「悪くなった」という波があります。また症状が沈静化している期間が長く継続される場合もあり、これを「治った」と認識される傾向があります。しかしあくまで沈静化しているだけに過ぎず、いずれは再び症状が出る可能性があります。厳密にいえば、自然治癒は「治す」ということにはならないと考えられます。

(b)病院での処置

五十肩において病院での処置は投薬や湿布、または運動療法などのリハビリなども選択されます。病院での処置によって五十肩を克服したケースは決して珍しくありません。しかし対症療法がメインとなるため「痛みを消す」ことが中心です。痛み、可動域制限の根本原因となる筋肉や腱といった組織の状態を改善するアプローチは行こなわれないことがほとんどです。病院での処置が思うような効果を発揮しない場合は、処置の方法について主治医とよく相談することが大切です。五十肩は下記で解説するマッサージや整体によるアプローチでも改善する場合があり、1つの治し方に固執するといつまで経っても改善しないという状態に陥ります。

(c)マッサージや整体

マッサージや整体による五十肩の改善を検討する場合は、病院での検査において骨や血管などに異常がないことが前提となります。また病院での処置や運動療法を一定期間受けても効果を実感できない場合にマッサージや整体を検討すると良いでしょう。特に五十肩の後期にみられる「拘縮」「可動域制限」の改善には筋肉の柔軟性が欠かせないポイントです。反対に、五十肩の初期にみられる「炎症の痛み」が強い時期にマッサージや整体を受けることはかえって痛みが強くなる場合があるため、注意が必要です。

五十肩は自分で治せるのか?

五十肩を自分自身で治す方法はあるのでしょうか。インターネット上ではストレッチや体操が推奨されている情報をみかけますが、五十肩は簡単に治るものではありません。

(a)自分で治った=自然治癒

自身で何かを試した結果として五十肩が改善したとしてもそれは「自然治癒」と考えるのが妥当です。ストレッチや体操がなにかの影響を与えたと考えることもできます。しかしあなた以外の誰かが同じ方法を試して同じような結果になるとは限りません。つまりだれかの体験談はあまり当てにはならないのです。実際、誰にでも効果が期待できる五十肩の治し方は存在していないのが現実です。

(b)痛みが消えたのは「途中経過」

痛みが消えた=治ったと考えるのは時期尚早です。五十肩は痛みのある時期と無い時期を繰り返します。五十肩の初期は炎症による痛みが強く、可動域制限はそれほど強くありません。炎症による痛みは一定期間で沈静化し、次第に「動かすと痛い」「特定の動きで痛い」という状態に移行します。その後は痛みが伴うものの、主な症状は「拘縮」です。肩の可動域において一定の高さまでしか「腕が上がらない」「手が後ろに回らない」といった日常生活における不便さが強くなります。このように時系列で症状が変化していくのが五十肩の特徴です。適切な処置をせずに、痛みが消えたとしても、それは次の症状が出現するまでのわずかな「安息」であるといえます。

(c)原因が存在する限り治らない

五十肩を引き起こす原因は単体ではなく、複数あると考えられています。柔道整復師である筆者も、実際の五十肩の症状や発症経緯を聞くと複合要因があると感じます。または複数の原因が同時に存在するだけでなく、複数の原因が時系列で連動している結果として五十肩が引き起こされている可能性もあります。特に五十代よりも若い年代の肩の痛みは職業による肩の負担や生活習慣による肩の酷使などが大きな原因として考えられます。痛みや可動域制限、拘縮の改善ばかりに意識を向けるのではなく、原因を探し、その原因を取り除いていくことが最も有効な「五十肩の治し方」ともいえます。

五十肩を解消するためにあなたが身に付けるべき知識

五十肩は初期、中期、後期でメインとなる症状が異なります。つまり時期によって「治し方」のアプローチが変わるのです。適切な方法を選択できるように五十肩に関する知識を身に付けることが大切です。

五十肩 治し方

(a)炎症の痛み

五十肩の初期は「炎症による痛み」です。肩を動かさないでいても「ジンジン」と痛みを感じたり、夜の就寝時に痛みで目が覚めたりすることもあります。炎症といっても足首の捻挫で見られるような「腫れ」「発赤」などは存在しない場合があり、外見上では判断ができません。年代が五十代前後であれば「明確なきっかけ無し(加齢)」、若年層であれば運動や作業などで「肩や腕を酷使した」などが発症の引き金として考えられます。

(b)可動域制限の痛み

炎症の痛みがある程度沈静化すると「動かすと痛い」「動かせるけど痛みがある」という状態に移行します。痛みがあるので「それ以上動かしたくない」というブレーキの反応が顕著になり、結果として可動域に制限が出ることになります。多くの場合、一定の「角度」「動き」までは問題なく動かせるものの、途中で動かすことが困難なほどの痛みが出るといったパターンとなります。

(c)拘縮による痛み

痛みによる可動域制限の時期を過ぎると、関節がカチッと動かせなくなる「拘縮」が始まります。以前までは「痛いながらも動かすことができた」わけですが、拘縮になると「動かせない」状態です。氷のように固まり、自分ではコントロールができません。痛みは伴いますが一定の角度や動きは「拘縮」によって強い制限を受けているので「痛みを感じる前に動きが止まる」といったイメージです。

五十肩は症状が「移行していく」肩の痛みです。適切な処置により、症状の移行を食い止めることが重要になります。反対に症状を放置すると最終的に肩の関節は固まってしまい、元の状態に戻らないか、戻るまでに多くの時間とコストが必要になります。つまり「放置」してはいけないのです。

実際に五十肩を克服したひとの傾向

柔道整復師である筆者は多くの五十肩の改善事例を経験していますが、実際に改善にいたるまでに必要な要素が2つあると考えます。

(a)一定の頻度で治療を受ける

五十肩は一時的に痛みが消えるタイミングがあります。それを「治った」と考えてしまうと治療もストップしてよいと考えてしまいます。しかし、主に筋肉へのアプローチを行う筆者は、患者が自覚する「痛みの有無」ではなく「筋肉の状態」で判断します。つまり、痛みが消えたとしても筋肉の硬さや張りが残っている状態であれば「治っていない」と判断するのです。経験上、筋肉の硬さを残しままで治療を終えると、再び症状が出現したり、治療期間が空いたことにより以前より悪化した状態から治療を再開することもあります。自己判断で治療を中止することはさらなる悪化を招く傾向が強いといえます。

(b)生活習慣を見直す

治療とは別に、五十肩を引き起こす原因についての分析も入念に実施します。原因の特定と治療がセットになってはじめて「改善」に向かうことができます。原因が残ったままで治療を継続しても、それは対症療法に過ぎません。ひとによって多くの原因が考えられます。患者さん自身が想像つかないようなことが原因の可能性も十分に考えられます。五十肩を引き起こす原因は「まさかそんなことが」というレベルで探求していくことが重要になります。

五十肩はしっかりと治療を行うことができれば決して重症化することはありません。しかし症状が時間と共に変化していくということを理解せず、途中で治療を中止してしまうことが重症化につながってしまいます。本記事を参考にして、適切な治療を選択することを意識することから始めてみましょう。

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