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五十肩にマッサージは有効? 施術を受ける際の注意点を解説

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五十肩 マッサージ

五十肩は痛みが強く、また動きが制限されることから日常生活のクオリティを著しく低下させます。一方で明確な治療方法がなく、医学の視点によって対処法がバラバラです。そこで今回は五十肩の際にマッサージ施術で改善を試みる際の注意点について解説します。

五十肩 マッサージ

(a)五十肩の正体は炎症と拘縮

五十肩は進行性の「病気」と考えることができます。五十肩の初期は炎症による痛みが強い傾向にあるものの、肩や腕の動きは比較的自由に動く状態です。つまり「動かすと痛い」のです。五十肩は次第に進行し、炎症による痛みは軽減されるものの「動きの制限」が強くなります。つまり「腕が上がらない」状態です。特に明確な原因やきっかけがなく発生します。反対に運動によるケガは筋肉や腱、関節の損傷の可能性があるため、安易に五十肩であると判断してはいけません。

(b)加齢とともに五十肩になるリスクが高くなる

五十肩は加齢による血行不良や、組織の劣化による影響を強く受けます。つまり歳を重ねれば重ねるほどに発症のリスクが高まります。しかし加齢は1つの要因に過ぎません。年齢が若くても職業的に肩や腕を酷使する美容師や、タクシー運転手も五十肩と同様の症状が出ることもあります。また睡眠時の姿勢で「横向きで寝る」という習慣のあるひとは慢性的に肩や腕に負担がかかることで五十肩と同様の症状がでます。つまり生活習慣や職業的負担による「負担の継続」よっても五十肩を発症します。

(c)五十肩は複雑な難治性の病気

五十肩は「自然に治る」といわれています。しかし実際は何年も五十肩の痛みや可動域制限に悩まされているケースも珍しくありません。また一度改善したとおもっても再発し、一時的な改善と悪化を繰り返すこともあります。これは上述した加齢、生活習慣、職業的負担といった要因のほかにも血流、筋肉、腱、関節などの要因が複雑に関係しています。つまりマッサージ施術などの治療によって改善されても、加齢、生活習慣、職業的負担の解消がなければ結局は再発を繰り返すことになるのです。自然に治れば問題ありませんが、五十肩の症状が長引く場合はさまざまな角度から改善のアプローチをする必要があります。

なぜあなたの五十肩は改善しないのか

五十肩は難治性の病気で、しかも再発を繰り返すこともあります。治りにくい、再発を繰り返すにはいくつかの要因があります。以下の項目を確認しましょう。

(a)原因の特定が不十分

上述のとおり、五十肩には外部要因として生活習慣、職業的負担があり、内部要因として加齢、血流量、筋肉、腱、関節などがあります。これらは単体で五十肩を引き起こすこともあれば、複数の要因が絡まり合って引き起こすこともあります。表面上の炎症や可動域制限では判断がつかない要因の存在、また数分の問診では特定できない要因があります。また五十肩は病院の検査で「異常なし」と判断されます。本来であれば外部要因と内部要因を細かく分析して総合的に判断すべきです。原因がわからないので、どのような処置がベストな選択なのかを判断することができません。考えられる要因をしっかりと洗い出すことが改善への第一歩です。

(b)アプローチのミスマッチ

原因の特定が不十分の場合、改善のためのアプローチが正しくない可能性があります。例えば生活習慣に問題がある場合、どんなにマッサージ施術や注射、運動をしても症状は改善されません。改善のためのアプローチが原因に対して「ミスマッチ」であるケースは割と多い傾向にあります。また痛みの箇所や可動域制限の状態から判断して上腕二頭筋へのアプローチが必要であるにもかかわらず、三角筋へのアプローチをしてしまっているケースもあります。先に肩甲骨の可動域を改善した上で、個別の筋肉へアプローチするなど、アプローチを実施する「順番」も重要です。これは経験に基づいた試行錯誤が必要です。

(c)インターネット上の情報に振り回されている

五十肩を患うと、まずはインターネットで情報を検索して「セルフで改善できる方法」を実践されるひとが多い傾向にあります。インターネット上には「冷やす」「温める」「動かさない」「積極的に動かす」「五十肩体操」「チューブトレーニング」「マッサージ」「○○療法」などさまざまな方法が紹介されています。すでにお分かりかとおもいますが、原因の分析や特定が不十分の状態で「正しい対処法」を判断することは非効率なのです。まずは原因について分析し、その上で必要な対処法をインターネット上で探すのが正しい活用方法です。

五十肩 マッサージ

五十肩でマッサージ施術を検討する際の注意点

本記事では五十肩の改善にマッサージ施術を推奨しています。しかし、単にマッサージ施術を受ければ良いというわけではありません。ここではマッサージ施術を受ける際の注意点について解説します。

(a)病院での精密検査は必須

上記では「五十肩は病院の検査で異常なし」と判断されると解説しました。検査で異常がみられないなら検査を受ける意味がないように感じるかもしれせん。しかし検査で異常がないことを確認することに大きな意味があります。肩の痛みを引き起こす原因は五十肩だけではありません。筋肉の損傷、腱断裂、石灰沈着など外観上の情報だけでは判断できない原因が潜んでいます。腱断裂であれば手術が必要ですし、石灰沈着であれば内科的なアプローチが必要です。さまざまな治療を受けても一向に改善しないので病院で検査を受けたら「腱が断裂していた」というケースのあります。自己判断で五十肩と決めつけるのではなく、まずは病院で検査を受けることで「異常なし」「五十肩の可能性が高い」という根拠を得ることが大切です。

(b)原因の特定は慎重かつ多角的に

病院での検査において「異常がない」という判断は、血流量、筋肉、腱、関節といった内部要因に関する部分です。「異常がない」というのはあくまでも断裂や沈着といった「検査で見えるもの」が存在しないという意味です。実際は「筋肉の異常な硬さ」や「関節の変形」など検査では写らない要因が潜んでいます。さらには生活習慣や職業的負担といった要因が関係しますが、筋トレのフォームやスマートフォンを持つときの腕の位置など一、見すると「無関係」に思えるような要因も原因として検討する必要があります。これら原因の特定を自身で実践するのは少しハードルが高いかもしれないですが、本記事を参考に生活を見直してみることが改善に役立つと思います。

(c)五十肩のマッサージ施術は経験者に依頼する

五十肩は「自然に治る」「マッサージ施術はNG」とする認識が持たれています。これは病院に限らず整骨院やリハビリ施設でも同様です。つまり「改善のための積極的なアプローチをしない」という方針の施設が多いのです。または「患部には刺激をせずに周りの状態を改善する」ような本質的ではないアプローチもあります。このような方針の施設では本記事で推奨するようなマッサージ施術を受けることは難しいといえます。反対に、経験の浅い施術者では悪化する可能性も否めません。必ずマッサージ施術による五十肩の改善例を経験している施術者に施術を依頼しましょう。

五十肩(肩関節周囲炎)は時間を要するものの、適切な処置がおこなえれば完治が期待できる病気です。また原因の分析と特定が伴なえば「再発を防止する」ことも決して難しいことではありません。五十肩が改善せずに悩んでいる場合はマッサージ施術を検討することをオススメします。

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