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肉離れの予防に効果を発揮する! 柔整師が実践する5つの対策

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肉離れ 予防

肉離れは非常に再発の多いケガです。肉離れの再発を経験しているひとであれば「予防」することがいかに重要で、難しいことであるかを理解していると思います。今回は肉離れを予防するために実践したい5つのアプローチについて解説します。

肉離れを予防するために必要な5つのアプローチ

肉離れを予防するとき、ただ安静にして時間をかけながら自然治癒を待つだけでは不十分です。下記で解説する5つのアプローチを意識することが「予防」につながります。

(a)柔軟性

肉離れは筋繊維または筋繊維(主に太もも)と腱組織の連結部分(アキレス腱)で発生します。いずれも「筋繊維」が関わるのが肉離れです。そしてこの筋繊維がいかに柔軟性を持っているかが予防を考える上で重要になります。通常のストレッチ動作による関節の柔軟性とは異なり、筋肉自体の柔軟性が必要です。筋繊維そのものの柔軟性を高めるためには静的ストレッチがオススメです。また温熱効果を活用するのも良いでしょう。

(b)運動の習慣化

肉離れの多くは「不慣れな運動」によって発生します。継続的に運動をしている場合でも、その頻度が月に1~2回程度では習慣化しているとはいえません。身体や脳に対して、定期的に筋肉が収縮する刺激を伝えることが大切です。肉離れは物理的な張力(伸ばした、引っ張ったなど)によって発生するとイメージされていると思いますが、脳からの指令で「それ以上伸ばしたら危険である」と判断されることによっても発生します。つまり筋肉が円滑に伸び縮みするためには「脳の判断」が重要なのです。

(c)テーピング

テーピングは肉離れ初期には「固定」の役割を果たし、後期には肉離れの「予防」に役立つ優れものです。肉離れ発生直後から運動再開までの期間のほとんどで活用することが理想です。肉離れは完治よりも「痛みの消失」が先に訪れます。つまり「完治はしていないが痛みが無い」状態となります。この状態になると多くのひとは「治った」と認識してしまいますが、実際には筋繊維の修復は「途中」であり、軽い運動や不用意な動作で簡単に肉離れの再発を引き起こしてしまいます。これを予防するためにもテーピングによる予防を積極的に活用すべきといえます。

(d)筋力調整

肉離れの発生要因の1つに「筋力差」があります。特に太ももの肉離れでは太もものの前面んい位置する大腿四頭筋、後面に位置するハムストリングスの筋力差が問題になります。競技の特性として、またはトレーニングメニューの偏りによって、例えば太もも前面の大腿四頭筋が極端に発達したとします。一方で反対側のハムストリングスの筋力があまり発達していません。この状況で太ももに強い負荷(デットリフト、高所からの着地など)が加わると「筋力差」に耐えられなくなりハムストリングスが肉離れを引き起こします。身体にある筋肉は「前面」と「後面」がセットで働きます。つまり互いに連動した動きによって関節を動かすのです。そのため、どちらか一方を強化してしまうことは肉離れの発生リスクを高めてしまうことにつながります。トレーニングでは前後の筋肉が均等に強化されるように意識し、常に筋力を調整することが予防につながります。

(e)マッサージ

柔道整復師である筆者が肉離れの患者さんを対応して感じるのは、肉離れの状態を把握する上で患者さんの認識と、実際の筋肉の状態に「ギャップがある」ということです。つまり患者さんは「痛みもないし調子は良い」と判断している場合でも、筆者が実際に筋肉に触れると「硬さ」「張り」が存在します。この状態で運動を再開すると多くの患者さんは「また痛みが出そう」「違和感を感じて不安」といった再発の前兆を感じ、最悪のケースでは「再発」を引き起こします。マッサージでは筋肉の硬さや張りをケアするという目的だけでなく、実際の状態を把握することができます。これは肉離れの予防を意識する上で非常に重要です。肉離れの再発を繰り返している場合は、マッサージを活用して客観的な情報に基づいて運動再開を判断することをオススメします。

肉離れ 予防

肉離れを予防するために注意すべきポイント

柔整師である筆者が肉離れの予防を考える際に、必ず、そして細心の注意を払うポイントが下記の3つです。この3つのポイントをクリアしない限り、運動再開を許可することはありません。

肉離れ 予防

(a)筋肉の違和感

大前提として患者さん自身が筋肉に「張り」を自覚している場合は運動はNGです。特に、すでに肉離れが発生しており、順調に回復しているとしても安易に考えてはいけません。よくあるケースでは「痛みではなく違和感程度だから平気だろう」という認識です。例えば筋肉痛の回復期レベルの違和感の残存であればそれほど問題にはなりません。しかし肉離れ後の回復期の違和感は「完治していない」状態であり「再発の前兆」であると考える必要があります。

(b)筋肉(硬さ、張り)の左右差

患者さん自身では判断が難しいポイントですが、マッサージや整体を受けるなどして客観的に筋肉の状態を評価することが必要です。ストレッチ動作による可動域制限の左右差も参考になります。肉離れの好発部位であるハムストリングス(太ももの後面)やアキレス腱(ふくらはぎの下部)の筋肉の状態を「反対側」と比較します。つまり硬さや張り感のある側の脚と、そうでない側の脚を比較して判断します。筆者の場合であれば、マッサージを継続しておこなうことで状態の変化を時系列で追うことができます。良い状態、悪い状態の比較が可能になるので「危険な硬さなのか」「問題ない程度の張り感かどうか」などの判断ができます。またこの判断は患者さんの認識も上手に取り入れることが重要で、一方的な材料だけで判断することなく、患者さんの認識と施術者の認識が一致することが理想です。

(c)運動量の調節

運動量の調節は、肉離れの回復度合いによって判断が異なります。肉離れが発生すると2カ月程度は「運動していない状態」となります。そのため、いきなり「運動」を再開してしまうと再発のリスクが高くなります。通常の運動(サッカーやバスケットボールなどの競技)を再開するために、リハビリ的運動を段階に再開していくことが必要です。日常生活を問題なく(違和感や張りを感じない)送れること、小走りやジョギングができる、そしてこれらを継続しても筋肉の状態が悪化しない、という段階を経て、本格的な運動再開が可能になります。

肉離れの予防、または再発の予防は十分に可能です。しかし予防に必要なステップを順番にクリアすることが条件です。必要なステップを順番通りにクリアするためには自身の感覚だけでは不十分で、マッサージや整体による「客観的な視点」が必要です。肉離れの予防には客観的な情報を積極的に活用することをオススメします。

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