ケガ もも裏の違和感は危険信号! ハムストリングスの肉離れ対処法 Tweet Pocket 2019.05.21 by threelegs.ishigaki 0 ハムストリングスの肉離れは、軽症なものから重症なものまで程度に差があります。さらには適切な対処法を行わない場合、再発の可能性を高めてしまう対処が難しいケガです。今回はハムストリングスに違和感や痛みを感じているひと向けに発症から完治、再発の予防まで一連の流れを解説してします。 この記事の目次 ハムストリングスが肉離れを引き起こす「場面」 (a)運動 (b)トレーニング (c)筋力の偏り ハムストリングスが肉離れを引き起こす「瞬間」 (a)断裂音 (b)衝撃痛 (c)姿勢保持困難 ハムストリングスが肉離れを引き起こした「その後」 (a)内出血 (b)炎症の痛み (c)動作時の痛み ハムストリングスの肉離れに対する「対処法」 (a)安静の保持 (b)負荷をかけない (c)改善促進アプローチ ハムストリングスの肉離れの「完治」 (a)安静時痛の有無 (b)運動時痛の有無 (c)ストレス動作 ハムストリングスの肉離れにおける「運動再開」 (a)負荷量は半分以下に設定 (b)客観的な判断を参考にする (c)再発の防止が最重要 ハムストリングスの肉離れに必要な改善までの「時間」 (a)軽症の場合 (b)重症の場合 関連記事 ハムストリングスが肉離れを引き起こす「場面」 ハムストリングスに肉離れが発生しているかどうかの判断には「場面」を分析することが重要です。 (a)運動 多くの場合、ハムストリングスの肉離れは「運動中」に発生します。短距離走やダンスなど瞬間的にハムストリングスを伸ばしたタイミングがきっかけとなります。 (b)トレーニング バーベルスクワットなど、太ももの前面と後面に過大な負荷をかけたタイミングで発生することがあります。これは太ももの筋肉が「パワー」を必要とするタイミングです。 (c)筋力の偏り 太ももの前面にある大腿四頭筋のパワーと、後面にあるハムストリングスのパワーが極端に異なったタイミングで肉離れを引き起こすことがあります。これは「筋力差」の問題で、ジャンプなどで高所から地面に着地する際に衝撃を吸収するために膝を曲げて上半身の重みを下半身で受けた止めたタイミングで起こります。 ハムストリングスが肉離れを引き起こす「瞬間」 ハムストリングスの肉離れ経験者による、発生時の状況についての理解が、肉離れかどうかの判断材料となります。 (a)断裂音 断裂音はアキレス腱の断裂が有名ですが、ハムストリングスもボリュームのある筋肉のため、肉離れが発生する瞬間には「ブチッ」「バリッ」といった音を聞く、または感じることがあります。 (b)衝撃痛 ハムストリングスは非常に強靭な筋肉のため、肉離れが発生して筋繊維が断裂する瞬間に「太ももを後ろから強く叩かれた」「太ももの後ろに何かが当たった」ような感覚を覚えます。この衝撃により多くのひとが太ももに「何かが起こった」ことを理解します。 (c)姿勢保持困難 ハムストリングスが肉離れを引き起こした瞬間から、真っすぐに立つことが困難になります。肉離れが発生した方の脚は体重を乗せることができず、もう片方の脚のみで身体を支えます。このため、立っていることが困難になりその場に倒れ込むことになります。 ハムストリングスが肉離れを引き起こした「その後」 ハムストリングスの肉離れは痛みや衝撃、立っていることが困難な状況となることから「肉離れかもしれない」とすぐに想像することができます。しかし冷静に痛みの部分を確認し、肉離れであるかどうかの判断をすることが重要です。 (a)内出血 肉離れは筋繊維の断裂です。軽症であれば内出血が出ないこともありますが、多くのケースでは誰が見ても分かるほどの内出血が確認できます。内出血は発生直後以外にも、翌日以降の時間が経過した時点で出現することもあるため、経過を観察することが必要です。 (b)炎症の痛み 筋繊維により内出血が発生している場合、それは「炎症」が発生している証拠となります。動かない状態でも「ジンジンと痛みを感じる」状態で、足首を捻挫したときの状況を似ているため比較的判断が容易です。 (c)動作時の痛み 炎症の痛みとは別に、膝の曲げ伸ばしで太ももの後面に強い痛みが感じられるかを確認しましょう。その際、太もも全体に痛みを感じるのではなく、内出血が見える部分にピンポイントの痛みを感じる場合、ハムストリングスの肉離れの可能性が高いと判断できます。 ▲関連記事自己判断は危険!? 慎重に判断すべき太ももの肉離れの症状とは ハムストリングスの肉離れに対する「対処法」 ハムストリングスの肉離れが疑われる場合、軽症であっても病院で検査を受けることをオススメします。なぜなら痛みや内出血など自覚症状の程度が軽い場合でも、筋繊維の損傷の程度が重症である可能性があるからです。 (a)安静の保持 ハムストリングスの肉離れは特に治療法はなく、基本は改善するまで安静にして過ごすことに尽きます。とはいえ、いかに安静を保持するかが重要で、軽症だからといって痛みを我慢しながら動いていると明らかに治りが悪くなります。テーピングや包帯を活用して肉離れの箇所を保護することがおススメです。 (b)負荷をかけない 肉離れの発生直後より、痛みによって「地面に足がつけない」状態となります。数日たつと痛みや炎症が軽減し、多少は地面に足を着ける状態になります。しかし地面に足をついてしまうと、断裂した筋繊維がさらに断裂する張力が加わってしまいます。つまり、治りが遅くなるため注意が必要です。 (c)改善促進アプローチ これは主にマッサージによる施術ですが、炎症や内出血が沈静化した時点から太ももの筋肉へのアプローチが可能になります。断裂した箇所に余計な「シコリ」を残さないことを目的としてアプローチを行います。また筋肉の状態について客観的に把握することも、経過をみる上で役立つポイントです。 ハムストリングスの肉離れの「完治」 ハムストリングスの肉離れを「完治」と判断するために、様々な視点から分析することが重要です。これを見誤ると再発につながってしまいます。 (a)安静時痛の有無 まずは動かない状態で痛みがないことが大前提です。座っているとき、立っているときなど安静にしているときの痛みがないことを確認します。肉離れを起こしてからおおよそ3週間程度が目安となります。 (b)運動時痛の有無 安静時の痛みがないことを確認した上で、運動時の痛みを確認します。まずは日常生活レベルでのイスからの立ち上がり、歩く、階段昇降など日常で痛みを感じることがない状況を確認しましょう。次に走ったりジャンプしたりといった少しだけ負荷の強い運動で痛みが出ないことを確認します。この段階ではまだ、本格的な運動を再開してはいけません。運動時の痛みが出ない期間が2~3週間程度維持できるようであれば本格的に運動の再開を検討します。 (c)ストレス動作 安静時の痛みと運動時の痛みは「主観」による判断基準になります。一方でこのストレス動作は「客観的」な判断基準になります。うつ伏せの姿勢で膝関節を曲げる動作に対して抵抗をかけることでハムストリングスに問題がないかを確認します。 ハムストリングスの肉離れにおける「運動再開」 運動再開のタイミングを判断するのは「再発の予防」に関わる重要なポイントになります。上述の通り、「完治」と判断した上で運動再開時の注意点について解説します。 (a)負荷量は半分以下に設定 運動再開時の負荷量は「半分以下」からスタートすることが望ましいです。足首や肩などの関節と違って筋肉のケガは想像以上に再発が多い傾向にあります。つまり関節のケガなどの過去の経験から「大丈夫だろう」と判断すると簡単に再発が起こります。筋トレであれば重さを、運動であれば活動時間を半分以下に設定しましょう。 (b)客観的な判断を参考にする 運動を再開後、違和感や痛みなど再発の予兆が感じられなくても、負荷量は段階的に増やしましょう。運動を再開した印象として「大丈夫そうだ」と判断しても安心できません。整骨院や整体院でハムストリングスの状態を実際に触ってもらい評価を受けることが望ましいといえます。 (c)再発の防止が最重要 ケガから完治、運動の再開まで2カ月から3カ月程度の時間を要します。ここで万が一「再発」が発生してしまった場合、再び長い時間をかけて治療に専念しなければなりません。肉離れは適切な処置を行えば完治に至ります。問題となるのはやはり「再発」です。上述した各項目は完治よりも「再発の予防」をメインとした内容です。肉離れを引き起こした時点から、いかに再発を防げるかを念頭に置いて治療に取り組めるかが重要なポイントです。 ハムストリングスの肉離れに必要な改善までの「時間」 肉離れの程度によりますが、途中の「安静の保持」「改善アプローチ」「運動の再開のタイミング」によっても時間は変わってきます。 (a)軽症の場合 肉離れにおいて比較的軽症なのは、痛みはあるものの内出血がない状態です。早ければ1カ月程度で軽い運動であれば再開が可能になるケースもあります。 (b)重症の場合 重症な肉離れの場合は痛みが強く内出血も広範囲に出る場合です。内出血が消失するまでに3週間程度、痛みが消えるまでにさらに2週間程度、痛みが消えてから2週間程度様子をみる期間を設けてから、運動再開までに最低でも2カ月以上は必要になります。 ハムストリングスの肉離れは運動時に起こることが多いですが、稀に運動をしていないタイミング、つまり日常の生活動作でも発生することがあります。また自身で軽症な肉離れであると判断してしまうと、再発や痛みが残る後遺症を残してしまうこともあります。肉離れは安易に考えてしまうと将来のリスクを高めてしまうことから、慎重な判断が求められます。 関連記事【盲点】左右の脚の長さが違う? 不調を招く脚長差のお話 キーワードを入れてください