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自己判断は危険!? 慎重に判断すべき太ももの肉離れの症状とは

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太もも 症状 肉離れ

ある日突然、太ももに強い痛みを感じた場合は「肉離れ」が考えられます。しかし、太ももの痛みが本当に「肉離れ」であるかどうかの判断は痛みが発生した状況や具体的な症状をもとに判断することが重要です。今回は肉離れの判断に役立つ症状と対処法について解説します。

太もも 肉離れ 症状

(a)瞬発力

太ももの肉離れの発生する経緯で「瞬発力」は大きな要因となります。

太もものの肉離れを引き起こす瞬発力の代表例
1、走り出した瞬間
2、ジャンプした瞬間
3、急な方向転換をした瞬間

瞬発力は主にサッカーやバスケットボール、野球などの運動時に発生する可能性があります。また運動に限らず「信号を急いで渡ろうとして走ったとき」「階段を踏み外したとき」にも太ももの筋肉に「瞬発力」が加わります。

(b)急激な負荷

太ももの筋肉に「急激な負荷」が加わることで肉離れを引き起こします。

太ももの肉離れを引き起こす急激な負荷の代表例
1、筋トレ
2、体勢を崩した際に片足で身体を支えた
3、高所から飛び降りて着地したとき

太ももに急激な負荷が加わると、筋肉はその負荷に対抗するように強く収縮します。つまり「踏ん張ったとき」に肉離れを引き起こします。急激な負荷に対して筋肉が強く収縮するのは関節や筋肉を保護する目的による「自然な反応」ですが、結果的に筋肉の強い収縮が肉離れを引き起こすことにつながります。

(c)強い筋肉の伸展力

太ももに強い伸展力が加わると肉離れが引き起こされます。

太ももの肉離れを引き起こす強い筋肉の伸展力の代表例
1、ストレッチ
2、転倒
3、競技中のアクシデント

通常のストレッチであれば問題ありませんが、勢いをつけて行ったり、限界を超えた関節可動域の拡大を目指したりする場合は太ももの筋肉が強く伸展しれることになります。引っ張った輪ゴムが切れるようなイメージです。また足を滑らせて転倒した際に、足だけが「ズルっ」と滑ってしまうことでも太ももの筋肉が伸展されます。サッカーなどで選手同士が球際で激しく接触する際に、足が思いがけず伸ばされてしまうケースも肉離れの原因となります。

肉離れを経験したひとの話を聞くと、多くのケースで何かしらの「動作」や「不意の動作」が
関与していることが分かります。まれにきっかけがなく引き起こされる肉離れも存在しますが、下記で解説する肉離れの代表的な症状を確認することで判断が可能です。

太ももの肉離れで確認される代表的な症状

肉離れは「筋繊維の損傷」が伴います。筋繊維の一部が損傷を受けるケースと大部分が損傷を受けるケースがあります。共通しているのは「筋繊維の損傷」です。この筋繊維の損傷に伴う症状をみれば肉離れの判断材料として役立ちます。

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(a)痛み

筋繊維が損傷を受けると「痛み」が伴います。損傷の程度によって痛みの度合いも異なりますが、筋肉の数ミリから数センチの範囲に比較的明確な痛みを実感します。痛みで「立ち上がれない」「足を地面につけない」場合もあれば、痛みがるものの「何とか歩ける」といった場合もあります。しかし「歩けるから平気」と判断してしまうのは危険です。痛みは個人差があり、まったく痛みを感じないケースもあります。痛みでの判断が難しい場合は下記の2つの症状を確認します。

(b)内出血

軽症な肉離れの場合は内出血が確認できないこともあります。しかし筋繊維が損傷を受けると修復のための炎症反応が引き起こされます。この炎症反応は筋肉の表面で内出血として確認ができます。内出血は肉離れの受傷直後に出現するとは限らず、時間が経過した翌日以降に確認されることも珍しくありません。太もものに痛みを感じた直後に外観上で内出血が見当たらないからといって安心しても、翌日に大きな内出血が出現する可能性を理解しておく必要があります。

(c)患部の窪み

筋繊維の損傷では、その損傷部分にわずかですが「窪み」が触れます。自身で確認するには少し難しいかもしれないですが、柔道整復師の筆者が肉離れのケースを診る際は必ず確認する項目です。窪みを触り分けるには経験が必要になりますが、病院で超音波などの機械があれば、画像による視覚的な判断も可能です。軽症な肉離れでは確認が難しく、痛みや内出血が伴う比較的重症な肉離れにおいて損傷箇所の特定に有効です。

肉離れと判断したら取るべき対処法

痛みが発生した経緯、太ももの痛み、内出血、損傷箇所の窪みなどを総合的に判断して「肉離れ」と判断した場合、取るべき処置があります。

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(a)固定と圧迫

太ももの痛みの場所、窪みの部分を中心に固定と圧迫をおこないます。肉離れは輪ゴムが強い伸展力によって「引き裂かれた」ような状態です。引き裂かれた筋繊維が再び修復されて「くっ付く」ようにサポートしてあげることが目的です。肉離れは適切な処置を怠ると痛みや違和感を残しやすい傾向にあります。つまり余計な後遺症を予防するためにも固定と圧迫は必須となります。主に包帯やテーピングで固定し圧迫を行いますが、損傷した筋繊維をイメージした固定方法が求められるため、やはり病院や整骨院など専門知識をもったスタッフに依頼するのが無難といえます。

(b)荷重の解放

太ももの肉離れの場合は「歩行」に関わるため、太ももにかかる荷重が問題となります。足を地面についたり、階段を昇り降りしたりすることでも太ももに痛みが出る状況を極力少なくする必要があります。理想は「松葉杖」の使用です。松葉杖は病院での貸し出しやネットでレンタル業者に依頼することもできます。しかし現実問題として松葉杖を使用して電車に乗ったり階段を昇り降りしたりすることも非常に不便です。これにより多くのひとが松葉杖を使わずに「痛みを我慢して歩く」という状況を選択します。この選択は結果的に完治を遅らせてしまい、また肉離れをおこした脚をかばって歩くため、反対の脚に二次的な痛みを引き起こす原因となります。早期回復と完全なる治癒を目指す場合は松葉杖の使用が欠かせません。

(c)十分な「安静」期間

肉離れの症状はおおよそ2カ月程度で収まります。しかし、痛みや内出血が消えたからといって「完治した」と判断してはいけません。肉離れによって損傷を受けた筋繊維の修復は痛みや内出血の消失よりも時間がかかる傾向にあります。つまり症状の消失と筋繊維の修復には「タイムラグ」が存在するのです。痛みや内出血が消失した2カ月あたりのタイミングで「油断」が生まれ、不意な動作で「再発」するケースが多くあります。筆者が肉離れの患者を診る際は、この再発に細心の注意を払います。比較的軽症な肉離れでも2カ月、痛みが強く大きな内出血が伴う肉離れでは3カ月以上が完治の目安と考えます。

肉離れの完治に向けて大事なこと

肉離れにおいて痛みや内出血といった症状は時間の経過とともに解消されていきます。問題となるのは「運動の復帰時期」や「再発の予防」です。

(a)肉離れを引き起こした「筋肉」へのアプローチ

一般的な肉離れの対処法は「時間をかけて治るのを待つ」のが基本です。しかし実際は「早く運動を再開したい」「今後のために再発や後遺症を予防したい」といった患者側の「ニーズ」があります。そのため肉離れによって損傷を受けた筋肉への積極的なアプローチが効果的です。施術によって筋肉の緊張を緩和し、柔軟性を高めることが早期回復を促進し、結果的に再発の予防につながります。また患者側としても、痛みや内出血の症状が消えた段階では太ももの実際の状態について判断が難しいこともあり、筆者が客観的に状態を把握し伝えることが患者の安心感につながります。そして、太ももの筋肉の状態を客観的に判断することで運動再開の時期を設定する根拠を得ることが可能になります。

(b)自家筋力トレーニング

肉離れが完治したと判断された後、いきなり運動を再開するのは危険です。まずは自家筋力による負荷をかけるレベルから運動を再開しましょう。太ももであればうつ伏せや仰向けの姿勢で「膝を曲げる」動きを繰り返します。この時点で太ももに痛みや違和感があれば運動を再開すべきではありません。再発の可能性がある以上、自家筋力による負荷で「問題がない」と感じるレベルまで回復を待つ必要があります。自家筋力による負荷で問題がなければ段階的に負荷を強くし、少しづつリハビリを継続します。

(c)運動再開の注意点

運動を再開する時期は慎重に判断することが必要です。この判断を誤ると数カ月の治療が水の泡となり、再び数カ月の治療を我慢しなければいけません。運動を再開する時期のほか、運動の強度は段階的に上げていくことも重要です。本格的に運動を再開するタイミングでは「テーピングによるサポート」も検討し、再発を予防するとともに安心感にもつながります。そして運動再開後も、太ももの状態を定期的に確認して再発の可能性について予防線を張ることが大切です。肉離れによる筋繊維の損傷は、完全に元の状態には戻らないといわれています。つまり損傷を受けた箇所はほかの箇所よりも「弱体化」しているということです。自己判断だけでなく、客観的な判断も取り入れる意識が大切になります。

太ももの肉離れは、おこなう処置によって完治の時期や再発の可能性について大きな影響を及ぼします。自己判断が難しい場合には病院や整骨院の活用も視野に入れて再発防止に努めましょう。

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