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肉離れの再発防止に必要な5つのステップを柔整師が徹底解説

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肉離れ 再発

肉離れの再発はなぜ起こるのでしょうか。肉離れは筋繊維が「断裂」するケガです。そのため運動に限らずとも、立ち上がりや歩くといった日常生活のちょっとした動作でも、筋繊維が互いに引っ張り合う力が働いて再発につながります。今回は再発を予防するための5つのステップについて解説します。

肉離れ 再発

(a)初期対応を怠らない

肉離れの再発を予防するためには、肉離れをを引き起こした「直後」の初期対応が重要です。肉離れとは筋繊維の部分的な断裂による炎症です。つまりRICE(R:安静 I:冷却 C:圧迫 E:挙上)が鉄則となります。また病院で検査を受けることで損傷の程度を把握しておくことも重要です。なぜならこの損傷の程度が、再発を予防するために必要な「完治」までの期間を判断することに役立つからです。(例 軽症なら2カ月程度 重症なら4カ月程度 など)

(b)痛みが消えても「完治」ではない

適切な初期対応を行なっていれば、痛みは徐々に軽減されます。しかし痛みが消えたからといって「完治」と判断してはいけません。「痛み」という感覚が消失しただけに過ぎず、断裂した筋繊維の修復は不完全な状態です。肉離れの程度が仮に軽症であると判断した場合であっても、痛みの感覚と実際の状況には「ギャップ」が存在すると理解しましょう。

(c)自己判断ではなく客観的な判断

断裂した筋繊維の状態は、自身の感覚だけでは判断が難しく、病院でのエコー検査や触診による筋肉の硬さや張りの変化による判断が必要です。足首の捻挫などは多少の痛みが残っていても運動を再開することが可能であり、それを経験的に理解しているひとも多いと思います。しかし捻挫は関節の靭帯損傷であり、肉離れは筋繊維の断裂です。似ているようですが靭帯と筋繊維の強度はまったく違います。客観的な判断材料として、定期的にエコー検査を受けることが良いでしょう。また整骨院やスポーツトレーナーを活用し、筋繊維の状態を「触知」してもらうこともオススメです。特に、何度か肉離れの再発を経験しているひとは客観的な情報を中心に改善の経過を判断すべきといえます。

(d)テーピングは必須

肉離れは筋繊維の断裂です。輪ゴムを強く引っ張ったときに「ブチッ」と切れるようなイメージです。つまり筋肉の両端が互いの距離を遠ざけるような張力が働きます。一方で肉離れが回復していくためには断裂した筋繊維に加わる「張力」を解放する必要があります。つまり断裂した部分が修復可能な距離感、位置関係を保持することが改善を促進するのです。この役割を果たすのが「テーピングによる固定」です。断裂した筋繊維の部分を中心にして筋肉全体にテーピングを貼ります。肉離れが発生してから運動再開までの全期間で実施してもよいテーピングですが、特に完治を待たずして運動を再開しなければならない状況では必ずテーピングを実施すべきといえます。

(e)本格的な運動再開のタイミング

いわゆる「全力」で運動を再開するタイミングについては慎重な判断が必要です。競技など本番の試合にいきなり出場するのはあまりオススメしません。全力を出さなくても問題のないような練習試合から復帰するのが理想です。本当の意味で慎重を期す場合は競技の復帰ではなく、肉離れが発生した筋肉のトレーニングをおこない、低下した筋力の強化を図ってから本格的に競技復帰することも検討しましょう。

実例! 肉離れの発生から運動を再開までの目安期間

(a)肉離れ直後から痛みや内出血が消失するまで

おおよそ3週間の時間を要する傾向にあります。軽症であれば3週間以内、重症であれば1カ月以上におよぶこともあります。

(b)痛みが消えても安静にすべき期間

上述のとおり、痛みが消えたとしても、肉離れが発生した筋繊維の修復が追い付いていないことを考慮して安静を継続すべき期間として、2週間程度を目安とします。この2週間、再び痛みが出たり違和感が出たりしないことを慎重に確認しましょう。

(c)軽い運動の開始時期

肉離れの発生から約1.5~2カ月程度の時間をかけて回復を待ち、軽めの運動を再開します。この段階では「早歩き」「小走り」程度の運動を留め、これを1~2週間程度継続して様子をみます。軽めの運動でも毎日おこなう必要はなく、一日おきまたは週に数回と設定して、運動と休養を繰り返すイメージで段階的に負荷を増やしていきます。

(d)本格的な運動再開の時期

本格的な運動の再開は、競技などの復帰ではなく「走る」「ジャンプ」など肉離れを引き起こした筋肉に対して意図的に負荷を加えることを意味します。理想は肉離れを引き起こしてから3カ月程度のタイミングです。意図的に負荷を加えるのと同時に休養も取り入れつつ2~3週間程度の期間を過ごしましょう。4カ月程度の時間をかけて「競技復帰」が検討されます。

(e)テーピング実施の推奨期間

テーピングは全期間において実施しても問題ありません。特に軽い運動を開始するタイミング以降はテーピングの実施が望ましいといえます。

この記事の内容を考えると、かなり慎重な期間設定となっていることがわかると思います。再発を引き起こしてしまうと、再び数カ月の時間を治療に費やさなければなりません。つまり半年近くの期間が「運動禁止」となってしまうのです。反対に、適切な対処法をおこない回復に十分な時間を確保することができれば、しっかりと「完治」が期待できます。この記事を参考に、焦らずに回復を待つことが最大の近道であることを理解しましょう。

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