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効果ない?! プロ施術家が解説する正しいマッサージの受け方

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マッサージ 効果ない

マッサージの効果を一概に否定することはできません。しかしマッサージの効果を十分に得るためにはマッサージの「受け方」が重要になります。マッサージを受けても「効果ない」と感じている場合に役立つ「受け方」について解説します。

マッサージ 効果ない

(a)マッサージの「種類」と「目的」が合っていない

マッサージには多くの種類があります。マッサージの方法、考え方、目的などマッサージを行なう施術者によっても細かく種類分けがあります。そしてマッサージを受ける側の目的も様々です。疲労の回復やリラックスから比較的重症な痛みや可動域の改善まで幅広いニーズがあります。またマッサージを受ける側の身体の個体差までも考慮するのであれば、マッサージの種類と受ける側の目的の「ミスマッチ」が多発することも納得できます。

(b)マッサージを受ける「時間」が足りない

マッサージの効果を十分に得ようと考えた場合、ある程度の「時間」が必要になります。これは目的や症状、マッサージを受ける身体の範囲によっても変わります。一般的にマッサージは「30分」「60分」といった時間の設定が先にありますが、本来であれば目的から逆算してマッサージ時間を設定すべきなのです。例えば慢性腰痛の場合であれば「辛い場所」は腰だけであったとしても、慢性腰痛の改善にはお尻や太ももの筋肉へのマッサージが欠かせません。

(c)マッサージを受ける「頻度」が少ない

マッサージを受けた感想として「そのときは楽になるがすぐに戻ってしまう」といったものがあります。これはマッサージを受ける「頻度が少ない」場合に起こる現象と考えられます。もしマッサージの効果を最大限に感じたいと考えるのであれば「一定の頻度」でマッサージを継続する必要があります。即効性のある西洋医学の薬と違ってマッサージは「継続」によって効果を発揮するします。症状や目的、身体の状態によって頻度と期間は異なりますが、基本はマッサージによって軟らかくなった筋肉の「戻り」を基準にして設定します。例えばマッサージを受ける前の筋肉の状態が100とした場合に、マッサージを受けた直後の状態(軟らかくなった)が40とします。つまりマッサージによって60ほど筋肉が「柔らかくなった」状態です。これを基準にして1週間後の状態を確認します。このときに100に戻ってしまっている場合は「1週間は期間として空け過ぎ」と判断して1週間以内のマッサージを検討します。反対に1週間後の状態として40の状態を維持できている場合は次回のマッサージを10日後あたりに設定しても良いと考えます。筋肉の硬さだけでなく、痛みや辛さの「自覚症状の程度」の同様の考え方で頻度設定に活用しましょう。

厚生労働省「統合医療」情報発信サイト

厚生労働省統合医療情報発信サイトにはマッサージに関する情報が記載されています。主にアメリカ国立補完統合衛生センター(NCCIH)のサポートを受けた臨床試験による効果、見解で、医学的根拠(エビデンス)として一定の拠り所となるサイトです。

(a)マッサージに認められた効果とは

上記のサイトでは、マッサージは慢性頚部痛、慢性腰痛、膝の変形性関節症の痛みに「効果がある可能性がある」と記載されています。また抑うつ症状の軽減やリラックス効果についても可能性があると記載されています。これはNCCIHによって医学的根拠(エビデンス)に値するレベルの臨床試験によって導き出された見解です。

(b)効果の期待できないマッサージの効果

いかなる臨床試験でもマッサージに「効果がない」ことを証明することはできません。証明は「効果があるかどうか」しかできないのです。つまり臨床試験を実施した結果として「効果が薄い、または認められない」といった優位性の有無が重要になります。明確な優位性が認められないものとしては線維筋痛症、頭痛、内科的疾患などがあります。

(c)注意が必要なマッサージとは

現代の医学の「代用」としてマッサージを使うことを推奨していません。つまり医学的問題の解決をマッサージに求めてはいけないということです。主に西洋医学領域である内科的疾患、神経的な疾患はマッサージによる解決を図ることによって適切な処置をとるべきタイミングを逃す危険性があると警鐘を鳴らしています。 信頼に値する、または多くのひとが一定の効果を得られる可能性があるという意味では上記の内容になります。しかし筆者はもっと多くの可能性を感じています。

臨床経験14年の柔整師が感じるマッサージの可能性

柔整師である筆者は手技による施術をメインとして筋肉へのアプローチを行なうスタイルです。筋肉の硬さが変化することで痛みや可動域が「変化」することを経験則として理解しています。ここでは筆者が感じている「可能性」について解説します。

(a)西洋医学領域”以外”の症状

マッサージによる効果はさまざまですが、マッサージの対象となるのは主に西洋医学領域「以外」の領域です。内科疾患をマッサージによるアプローチで改善を目指すという考え方は、ときに重大な結果を招く可能性があります。重要なのは「使い分け」です。マッサージは内科疾患における「緩和」に貢献することができます。それは肉体的な部分だけでなく精神的な部分も含めてです。西洋医学と東洋医学的なアプローチがお互いを補完し合うような関係性が理想です。

(b)肩こり、腰痛などの慢性病

肩こりや腰痛などの慢性病に、マッサージは一定の効果が期待できると感じています。継続や頻度が重要になりますが、パソコンやスマートフォンの利用時間が長くなる環境下では肩こりや腰痛を回避することができません。肩こりや腰痛を引き起こす原因(デスクワーク、生活習慣、睡眠時の姿勢)が消えない限り、マッサージはあくまでも「対症療法」の位置づけです。つまりマッサージで筋肉を柔らかくしても、再び硬く戻りといったことの繰り返しです。しかしこのような慢性病におけるマッサージの優位性は「筋肉の良い状態を維持する」ことです。慢性病を引き起こす原因が消えない限り、肩こりや腰痛は無くなりません。原因を抱えながらも肩こりや腰痛が生活に支障をきたさない程度の状態に維持することが現実的な合格ラインであると筆者は考えます。そして、それは十分に可能なことではありますが、身体の状態把握しないで、辛いときだけマッサージを受けるというようなスタイルではマッサージの効果を得ることは難しいといえます。

(c)筋肉の「回復」と「ケガの予防」

マッサージには筋肉を柔らかくするという効果以外にも、運動によって破壊された筋繊維の修復(筋肉痛)の回復に効果的です。すでに発生している筋肉痛を軽減させ、短期間のうちに消失させることも経験的に理解しています。また事前にケガの予防を目的としてマッサージを行なうこともオススメです。筋肉の硬さや張り感は運動時においてケガを誘発する大きな要因になります。これをマッサージであらかじめ解消しておくことが予防に繋がります。

手技による施術で多くの症例を経験する筆者の体感として、マッサージの目的、活用方法、頻度、時間などが計画的に設定されたものであれば、その効果を十分に得ることができると考えています。マッサージを「効果ない」と感じている場合は「ただ受けるだけ」ではなく「計画的に受ける」というスタイルを検討することをオススメします。

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