よくある痛み

プロが解説! 肩こりを放置すると目が疲れる理由とは?

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肩こり 目の疲れ

目の疲れは肩こりと深い関連があります。そして、その解消には同時に「肩こり」の改善が必須です。それゆえ目の疲れは自力での改善が難しく、肩こりと並んで悩むひとが多い悩み事の1つとなっています。今回は目の疲れを引き起こす原因と「目の整体」について解説します。

目の疲れと深い関連のある肩こりについて

目の疲れは、その大半のケースが「肩こり」とセットです。肩こりは関係がないと感じている場合でも、それは「自覚していないだけ」である可能性があります。ここでは「なぜ肩こりが目の疲れを引き起こすのか」について解説します。

(a)肩こりの「姿勢」

肩こりは「姿勢」を悪化させる大きな要因となります。背中が丸くなる「猫背」が有名です。猫背の姿勢は目の疲れの原因となる「後頭部の付け根」の状態を悪化させます。猫背は表層でいえば僧帽筋、深層でいえば後頭下筋群という、目の疲れの直接原因となる筋肉を常に緊張状態にさせています。つまり猫背であること自体が目の疲れを引き起こす要因となります。

肩こり 目の疲れ

(b)肩こりの「筋肉」

肩こりの正体が何かといえばそれは「筋肉の硬さ」です。上記で挙げた僧帽筋(そうぼうきん)、後頭下筋群(こうとうかきんぐん)は後頭部における目の疲れの直接的な要因です。肩こりで問題となる筋肉は首、肩に位置する板状筋(ばんじょうきん)、肩甲挙筋(けんこうきょきん)です。目の疲れを訴えるひとの多くが、首や肩の筋肉の硬さ(辛さ)を自覚していますが、まれに「肩こりは感じないが目が疲れる」と訴えるケースがあります。しかしこれは「自覚していないだけ」での状態であり、マッサージで筋肉に刺激を加えると「硬さ」「痛み」を感じます。また「肩こりを放置した結果」として目の疲れを誘発することも珍しくありません。目の疲れにおける肩こりの存在は考慮すべき要因となります。

(c)肩こりの「血行不良」

肩こりの正体である筋肉の硬さで何が起こっているのかといえば「血行不良」です。筋肉を潤す血液が滞り「酸欠」「栄養不足」に陥っています。そのため筋肉は「乾燥肉」のような柔軟性のない状態です。状態が悪化した筋肉は脳みそに危険信号を発します。これが肩こりにおける「痛み」「重だるさ」「倦怠感」です。このような症状は一時的であれば問題ありません。しかし長期間放置されると身体は痛み、重だるさ、倦怠感から逃げるような「姿勢」をとります。これが猫背です。つまり「猫背」「筋肉の硬さ」「血行不良」が負の悪循環を作り上げた結果として「目の疲れ」を引き起こし、また悪化させていると説明することができます。

目の疲れを解消するために、肩こりを治す

目の疲れが単体で起こることは考えにくく、多くのケースで肩こりを伴っていると考えられます。反対に、肩こり改善のアプローチなくして目の疲れの根本的な解決は難しいといえます。

(a)即効性のある「目の整体」

筆者の解説する「目の整体」とは、主に後頭部付近に付着する僧帽筋と後頭下筋群を指します。この後頭部付近へのアプローチは即効性があり、マッサージで受けた直後から改善を実感するケースがほとんどです。受けた本人と実感はもちろん、外見上の目の印象にも変化がみられます。特に肩こりの症状が軽症であればあるほど即効性が期待できます。目の周りの眼輪筋(がんりんきん)や皺眉筋(しゅうびきん)へのアプローチとは異なり、目の疲れにダイレクトなアプローチが可能です。

(b)持続性のある「肩こり治療」

後頭部へのアプローチは即効性が期待できる一方で、持続性が弱い特徴があります。つまり「戻りが早い」のです。この持続性に貢献するのが首や肩へのアプローチです。通常の目の整体では最初に「肩こり」へのアプローチを行い、状態を整えます。後頭部へアプローチする準備段階のイメージです。厳密にいえば、首や肩へのアプローチをどれだけ入念におこなえるかが目の疲れ解消の結果を左右します。軽症な肩こりであれば首や肩の筋肉の変化を十分におこせるので、僧帽筋や後頭下筋群への変化も期待できます。目の疲れをスッキリとさせ、しかも効果を長持ちさせるには肩こりへのアプローチが欠かせません。

(c)セルフケアは「姿勢」

後頭部、肩こりへのアプローチは自身でおこなうには少しハードルが高いかもしれません。特に筋肉の位置や形を知らない一般の方が、僧帽筋、後頭下筋群、板状筋、肩甲挙筋といった筋肉に正確にアプローチすることは困難です。後頭部や肩こりのマッサージを受ける際は筋肉を熟知した施術者に依頼することが良いでしょう。目の疲れを軽減するセルフケアとしてオススメなのは「姿勢」を意識することです。猫背はもちろんですが上半身に対して首が前へ飛び出さないように意識しましょう。スマートフォン、パソコンの画面を見る際に、ついつい画面を「のぞき込む」姿勢になりがちです。特に手元のスマートフォンをみるときの「やや下を向く角度」は後頭部に付着する僧帽筋が引っ張られてしまいます。これは僧帽筋に慢性的なストレスを与えることになるので意識的に「顔を起こす」ようにしましょう。

検査で異常が見つかる背中の痛みには適切な処置が行なえます。しかし検査で異常が見つからない背中の痛みは原因を「探す」ことが必要になります。原因が特定できない場合、背中の痛みに対してどのようなアプローチ(治療)を行っても痛みは繰り返される結果となってしまいます。背中の痛みだけでなく、原因を探すことも重要であることを理解しましょう。

実例! 目の疲れをダイレクトに解消する「目の整体」とは

目の疲れは様々な症状を引き起こします。

目の「疲れ」以外の症状
・まぶたが重い
・目が開きにくい
・二重が不鮮明
・目の下のクマ
・目のかすみ
・ドライアイ
・眼瞼下垂 など

僧帽筋や後頭下筋群へのアプローチでは、目の疲れが引き起こす様々な症状の改善が期待できます。イメージは「本来の状態を取り戻す」です。目の疲れといった自覚症状だけでなく、目の疲れによって損なわれた「目の印象」を取り戻すことが目的です。

(a)目の疲れ

目の疲れとは主に重だるさや視界不良、ドライアイといった症状です。「スマートフォンやパソコンの画面を見るのが辛い」「細かい文字が読みにくい」といった目の疲れによって引き起こされる一時的な目の不具合に、効果が期待できます。ただ、目の疲れを引き起こす「目の酷使」という根本原因が改善されないことには、再び目の疲れを感じることになります。目の疲れが特に酷いタイミングで目の整体を検討してみましょう。

(b)二重、まぶたのたるみ

元々は両目とも「二重」だったものが目の疲れが慢性化することで「片目だけ一重」「左右で目の開きが違う」といった状態を招くことがあります。また「まぶたのたるみ」も重症化すると眼瞼下垂という病的な状態に陥り、視界を遮ってしまうこともあります。これは「目の印象」に影響を与えるデリケートな問題です。後頭部や首へのアプローチで変化が認められる事例もあり、一定の改善効果があると考えられます。病院における治療法では手術しか選択肢がなく、なかなか決断できずに悩んでいるケースがあり実際に相談を受けることも珍しくありません。

(c)目の下のクマ

目の下のクマは一時的なものであれば問題ありません。しかし目の下にクマが定着しますとやはり目の印象に大きな影響を与えます。また一度定着した目の下のクマが自然に解消されることはほとんどないとありません。それは根本原因として肩こりによる「血行不良」が原因であると考えられます。つまり首や肩の筋肉の硬さ、血行不良の影響を受ける形で「目の下のクマ」が引き起こされてといえます。後頭部や首へのアプローチによって目の下のクマが解消される事例から考えると、その関連は大きいと考えられます。

目の疲れと肩こりの関連について、臨床の現場で実感する影響はかなり大きいといえます。目の疲れを改善することが肩こりの改善につながり、肩こりの改善もまた目の疲れの改善に貢献します。目の疲れと肩こりを切り離して考えるのではなく、互いに関連していることを前提に改善方法を検討することをオススメします。

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