よくある痛み

くしゃみで腰痛!? くしゃみが原因の腰痛を「事例付き」解説

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くしゃみ 腰痛

腰痛を引き起こす原因として意外と多いのが「くしゃみ」です。くしゃみは腰痛を引き起こすだけでなく、ぎっくり腰のような強い痛みや腰の状態を悪化させる要因にもなります。今回は腰痛と「くしゃみ」の関連を臨床の現場で実際にあった事例を交えて解説します。

(a)くしゃみは「前屈」が強制される

くしゃみが起こる際、身体を後ろに反りながら息を吸い込みます。そして吸い込んだ息を一気に吐き出すように身体を丸めてくしゃみをします。くしゃみにおいて息を吐きだす動作で腰にとって危険な姿勢である「前かがみ」が強制されます。ぎっくり腰をはじめとした腰痛の多くは「前かがみ」がきっかけで引き起こされます。くしゃみの動作ではこの前かがみの姿勢が強制されることで腰痛を引き起こします。

くしゃみ 腰痛

(b)瞬発的な動きが強制される

「くしゃみ」の動作で「前かがみ」が強制されるのは上述のとおりです。くしゃみにおける「前かがみ」は瞬発的な動きによって強制されます。通常であれば「前かがみ」になるだけでは腰痛にはなりません。しかし「くしゃみ」のような「瞬発的」な動きが強制されることで腰に過大な負担がかかり、腰痛を引き起こします。別の表現をすると「腰を急に動かす」という状態で、やはりぎっくり腰や腰痛を引き起こすのに十分な要因となります。

(c)連発するくしゃみによる影響

くしゃみが腰痛の引き金になるといっても、一度や二度程度のくしゃみで腰痛になることはほとんどありません。くしゃみをきっかけとした腰痛のケースを分析すると「何度か連続してくしゃみをしていた」「風邪をひいて数日間はくしゃみをしていた」「花粉症の影響でくしゃみが止まらなかった」などの背景があります。つまり「連続して」「数日間」などの要因が揃ったときに腰痛を引き起こしていることがわかります。上述のとおり、くしゃみは腰に負担となる「前屈の強制」があります。これが何度も繰り返されることが腰痛の引き金となります。

腰に負担をかけない「くしゃみ」の方法

くしゃみが腰痛を引き起こすメカニズムを踏まえて、どのような点に気を付ければくしゃみによる腰痛を防ぐことができるのかについて解説します。

(a)息を吸い過ぎない

くしゃみの初期動作である「息を吸い込む」ときに思い切り吸い込み過ぎてしまうと、次の動作である「息を吐く」ときに身体が大きな前屈を強制されてしまうことになります。つまり息を吐く際に強制される前屈を最小限に留めるために、くしゃみの初期動作で吸い込む息の量も最小限に留める意識が効果的であるといえます。

(b)息を吐き過ぎない

くしゃみにおいて「息を吐く」動作は、腰における「前屈の強制」が伴います。つまり息を吐く動作を最小限に留めることが、腰における前屈の強制を最小限に留めることにつながります。仮にくしゃみの初期動作である「息を吸う」タイミングで思い切り息を吸いこんでしまったとしても、次の息を吐く動作を最小限に留めることが腰への負担を軽減することになります。

(c)上半身は大きく動かさない

くしゃみは生理現象なので完全に身体の動きをコントロールすることは難しいかもしれません。くしゃみの初期動作で身体を後ろに反り、その反動を利用して瞬発的に前かがみになる一連の動きを、勢いに任せてしまうようでは腰痛を引き起こす危険性を高めてしまいます。息を吸う、吐く動作を最小限に留めることで、上半身におこる一連の動きも最小限に留めることができます。しかし、上半身におこる動きを無理やり制限することはかえって腰に負担をかけてしまうかもしれません。あくまでも「最小限」がポイントです。

(d)前かがみ姿勢でくしゃみをしない

くしゃみの動作では前屈が強制されることの危険性について解説しました。しかし、それ以前の問題として「前屈姿勢でくしゃみをしてしまう」ことは非常に危険です。ぎっくり腰を引き起こす原因でも「前かがみの状態で重い物を持ち上げた」タイミングが非常に多いです。つまり前かがみは腰にとって非常に「弱い姿勢」なのです。特に連続してくしゃみをすると段々と「前かがみ」になりがちです。くしゃみが出そうな気配を察知したらすばやく上体を起こし、衝撃に備える心構えが必要です。

くしゃみ 腰痛

☆注目ポイント☆

腰に負担をかけない「くしゃみ」の方法として「息を吸い過ぎない」「息を吐き過ぎない」について解説しました。いずれも「過ぎない」と表現しているわけですが、ここが注目ポイントです。「過ぎない」ことが理想であれば「息を吸わない」「息を吐かない」ことも同じ意味のように感じるかもしれません。しかし後述する事例の紹介では「くしゃみを我慢」したことによる腰痛について解説しています。つまり完全に息を吸わない、吐かないといった「くしゃみの我慢」はかえって腰痛を引き起こすことにつながる危険性があります。我慢ではなく「最小限」が正しい理解であることを覚えておいてください。

くしゃみをきっかけに腰が激痛に見舞われた事例

(a)原因

くしゃみをしたタイミングで腰に激痛を感じ、そのまま身動きがとれなくなったそうです。

(b)状態

身体のほとんどの動作で激痛を感じ、数日間は寝て過ごしたとのことです。その後、少しづつ動けるようになったものの、腰の曲げ伸ばしやくしゃみ、咳で強い痛みが伴いました。

(c)どんな「くしゃみ」だったのか

今回の事例で珍しいポイントとして、実は「くしゃみ」ではなく「くしゃみを我慢した」タイミングで腰に激痛が走った点です。以前、くしゃみをした際にぎっくり腰になった経験をしていたため、くしゃみをする際は「鼻と口を手で塞いでくしゃみをする」という特殊な方法を実践していました。つまり「くしゃみを我慢した」わけです。

(d)改善アプローチ

数回の施術により痛みは大きく改善されました。腰痛の程度としては決して重症例ではありません。しかし腰痛を引き起こすきっかけとして非常に珍しい事例のため、筆者の記憶にも印象深く残っています。

(e)考察

くしゃみは、生理現象なので完全に予防することは難しいと考えられます。アレルギー反応としてのくしゃみであれば薬によってある程度は予防できるかと思います。それでもくしゃみが出る場合には、身体や腰に負担のかからない方法を実践するしかありません。極端に大きくくしゃみをしてしまうのはもちろんですが、極端に我慢してしまうのも危険であることがわかりました。

腰痛になる原因といえば「運動」「不意な動作」「季節の変わり目」などがイメージされると思います。しかし時期でいえば「花粉症」の2~4月、クーラーで身体が冷えることによる「風邪」など「くしゃみが増える」時期に腰痛を訴えるケースが増加します。たかが「くしゃみ」と油断することなく、身体に負担のかからない「くしゃみの方法」を身につけましょう。

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