ケガ

自分でケアできる!! アキレス腱の痛みへの対処5選!

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アキレス腱 痛み 対処

アキレス腱の痛みは「歩行」に関わる点で完治まで時間がかかるという特徴があります。またアキレス腱の「断裂」といった重大なケガにつながる可能性も含んでいるため、決して放置してはいけません。今回はアキレス腱の痛みへの正しい対処法について解説します。

アキレス腱の痛みへの対処法として、安静時に行える方法について解説します。

(a)温熱

外出や運動でアキレス腱に痛みを感じる場合、その後のケアが非常に大切です。激しい運動や過大な負荷によって「ジンジンと痛む」ような痛みの場合はアキレス腱からふくらはぎの範囲に冷却を行いましょう。その後、アキレス腱の痛みが落ち着いた段階では入念に「温熱」を実施することが望ましい処置です。使い捨てカイロなどを活用しても良いでしょう。

アキレス腱 痛い 対処

(b)セルフマッサージ

ふくらはぎからアキレス腱の範囲であればセルフマッサージも比較的容易に行えます。痛みを感じる箇所がアキレス腱だとしても、マッサージでは筋繊維の多いふくらはぎをメインに考えることが大切です。ふくらはぎの筋肉は大きくわけて2つあり、1つは表層に位置する腓腹筋、もう1つは深層に位置するヒラメ筋です。表層の腓腹筋はふくらはぎ全体を手の平で押してあげることで刺激が入ります。ヒラメ筋はふくらはぎ全体を手の平で「掴む」ような感覚で軽く持ち上げることで刺激することができます。

腓腹筋のセルフマッサージ動画(クリックして再生)

ヒラメ筋セルフマッサージ動画

(c)ストレッチ

アキレス腱へのストレッチは過度にやり過ぎると症状を悪化させてしまう可能性があります。「アキレス腱の痛みを我慢して伸ばす」のは危険です。「伸びている感覚」「張る感覚」があれば十分です。またストレッチをおこなうときは「勢い」は必要ありません。ストレッチで伸ばした筋肉は「伸びている感覚」「張る感じ」の出る体勢で10秒から20秒程度の時間を「キープ」することが重要です。

アキレス腱の痛みへの対処法【運動時編】

アキレス腱に痛みを抱えている状況で運動をしなければならないとき、症状の悪化を予防したり少しでも負担を減らす目的で行う対処法について解説します。

(a)テーピング

テーピングはアキレス腱の痛みを軽減するように固定すると同時に、症状の悪化を防ぐことができます。アキレス腱の痛みを抱えた状態で運動を行うのは「断裂」の可能性が高くなるため、本来的には「危険な行為」です。しかし、やむを得ず運動を行うときはアキレス腱からふくらはぎ全体にテーピングを実施すると安心感にもつながります。踵(かかと)から膝に向かって2本または3本程度のテーピングで効果を発揮します。運動の強度によってテーピングの枚数や貼る方法は異なりますが、運動時にアキレス腱への負担を軽減する目的にはテーピングが役立ちます。

(b)サポーター

サポーターの使用は比較的軽症なアキレス腱の痛みに対して有効です。すでに痛みが強い場合や激しい運動には不向きです。完治前の痛みや痛みの予防が主な役割となります。またサポーターによる着圧で足首に安定感を与えることができます。テーピングと併用してサポーターを装着することも良いでしょう。

(c)鎮痛薬の服用

運動や歩行によってアキレス腱の痛みが強くなってしまった場合、応急的に用いるものとして「鎮痛薬」の活用を検討しましょう。アキレス腱に痛みを感じる状態では「正常な動き」ができません。痛みのある方の足をかばってしまったりすることで他の関節や筋肉に痛みが広がってしまう可能性があります。痛みが強いにもかかわらず、運動や歩行を続けなければいけない状況での痛みを軽減させる目的で鎮痛薬が役立ちます。ここで注意が必要なのは鎮痛薬によって痛みが軽減しても、アキレス腱の状態が改善されたわけではない点です。反対に、痛みが軽減されたことで無理な動きをしてしまう可能性も考えられます。あくまでも痛みの「感覚」だけが鎮痛薬によって緩和されていると理解しましょう。

しっかり理解しよう! アキレス腱が痛む3つの理由

腱鞘炎の原因は日常生活の中に多く存在します。また痛みの出るタイミングと、原因となる動作に「ズレ」が生じているケースも多く、原因の特定を見誤ることで見当はずれなアプローチとなり改善までに時間がかかることもあります。腱鞘炎の原因について、改めて見直してみると意外な生活習慣に原因が見つかるかもしれません。

どんなにアキレス腱の痛みへの対処法を理解したとしても、それは対処療法でしかありません。本質的に大切なのは原因を知り予防につなげることです。ここではアキレス腱が痛む原因について解説します。

(a)ふくらはぎの筋肉の「過緊張」

アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉の一部です。膝に近い方が筋繊維が多く、踵(かかと)に向かうにつれて腱組織が多くなります。つまり1つの筋肉でありながら、片方は筋繊維、もう片方が腱組織という構造です。他の筋肉も骨に付着する際は同じ構造体系を成しますが、アキレス腱はその構造が顕著です。アキレス腱の痛みなのでアキレス腱そのものに原因があるように考えがちですが、アキレス腱の痛みを左右するのは筋繊維の多い膝に近い範囲の筋肉の状態が重要です。アキレス腱の痛みを抱えているケースでは、ふくらはぎの真ん中から上部の筋肉が過緊張を起こしている場合が多くあります。またアキレス腱の痛みを改善するアプローチでもアキレス腱そのものよりも、筋繊維の多い上部の範囲をメインに行います。アキレス腱の痛みは、筋繊維の多い 上部の状態を改善することが重要となります。

(b)足首の関節の「不安定性」

足首の捻挫を繰り返していたり、足の靭帯の剥離骨折などがあったりすると足首の関節の安定が失われてしまいます。失われた足首の安定性は回復することが難しいといわれています。このような状況では失われた安定性を補うために、ふくらはぎやアキレス腱を「硬化」するといった反応が起こります。臨床の現場でも、足首に問題を抱えている状態を放置した結果としておこるアキレス腱の痛みが多く確認できます。また足首の不安定感によって正常な「歩き方」ができないことも、ふくらはぎやアキレス腱の状態を悪化させる要因となります。足首の捻挫を安易に放置してしまうことがアキレス腱の痛みを誘発してしまうことを理解しましょう。

(c)足首の怪我の「後遺症」

足首の怪我の後遺症としてアキレス腱に痛みを感じることがあります。足首の捻挫やアキレス腱の痛みを治療するために行なう「固定」がおもわぬ後遺症を引き起こすことがあります。テーピング程度の固定では大きな問題となりませんが、ギプス固定や包帯固定など足首の「動き」を大きく制限する固定は筋肉に「拘縮(こうしゅく)」という後遺症が問題となります。これは固定そのものが問題ではなく、固定する期間と固定を解除したあとのリハビリテーションの実施が十分であったかどうか問題となります。固定をおこなうと必ず拘縮がおこり、適切なリハビリテーションをおこなわないと足首の関節可動域が狭くなります。そのような状態ではふくらはぎやアキレス腱に痛みを引き起こすことになります。足首の捻挫やアキレス腱損傷の回復を目的として固定を実施した際は、必ずリハビリテーションまでセットで考えることが必要です。

アキレス腱の痛みを放置するリスク

アキレス腱に痛みを感じる場合でも「痛いけど歩ける」「時々痛む程度だから大丈夫」と痛みを放置した結果、さらなる痛みや症状が重症化するリスクがあることを理解しましょう。

(a)アキレス腱の「炎症」

アキレス腱の痛みが「歩いているとき」「運動時だけ」といった一時的な痛みだとしても継続して痛みがある状態は「アキレス腱炎」を引き起こします。一時的な痛みは「筋肉の硬さ」が原因である可能性があります。しかし一時的な「アキレス腱の痛み」から「アキレス腱炎」に移行した場合、痛みを感じるタイミングは「一時的」ではなくなります。痛みを感じる時間が長くなり、歩いている時や運動時以外の「安静時」でも痛み感じるようになります。しかもふくらはぎやアキレス腱は身体の多くの動きで使う部位なので、いつまで経っても炎症が沈静化しません。これが難治性のアキレス腱炎となります。一時的であったとしてもアキレス腱に痛みがある状態を放置することはさらなる悪化を招くことになるので注意が必要です。

(b)アキレス腱の「断裂」

アキレス腱の断裂は、前触れなく発生することもあります。しかし多くのケースではアキレス腱の「痛み」「違和感」「張り感」など前兆とも考えられる症状が存在しています。上記の例と同様に、痛みや張り感を放置した結果としておこるのがアキレス腱の断裂です。通常だと痛みという感覚は「徐々に痛みが強くなる」という認識が強いとおもいます。つまり「多少の痛みは平気だろう」という油断が見え隠れしています。しかし単純なアキレス腱の痛みと、アキレス腱の断裂とでは重症度や改善にかかる期間、後遺症などの観点から考えても大きな違いがあります。断裂の可能性があるアキレス腱の痛みを放置することは将来的にもリスクとなります。決して安易に考えてはいけません。

(c)アキレス腱の「周囲への痛み」

アキレス腱の痛みは主に「歩行」「運動」など足の動きで引き起こされます。歩いているときはできるだけアキレス腱の痛みが出ないような「足の着き方」をします。走っているときでも同様に、アキレス腱の痛みをかばいながら走ります。これは疼痛緩和姿勢と呼ばれるもので、人間の身体は多少の痛みであれば痛みを出さないような「姿勢」をとることができます。このような状態が短期間で解消されれば大きな問題にはなりません。しかし疼痛緩和姿勢が長期におよぶと「バランスの悪い姿勢」「歪みのある姿勢」「不自然な姿勢」が身体に大きな負担をかけることになります。最初はアキレス腱の痛みだけだったものが、次第に膝の関節、股関節、骨盤、腰などにも痛みが波及します。このような経緯で発生した関節の歪みや筋肉の痛みは改善までに非常に時間がかかります。アキレス腱の痛みを「痛いけど歩くことに支障がない」という理由で放置してしてしまうと、全身に影響が出るということを理解しましょう。

アキレス腱の痛みは多少の痛みであれば放置して様子をみると判断してしまうことが多いと思います。しかし今回解説したように、単純なアキレス腱の痛みが難治性の炎症、断裂そして全身への影響を与える可能性があります。この記事を参考に適切な処置を検討しましょう。

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