運動時の痛み

検査ではわからない?! 膝の内側に痛みを引き起こす原因3選

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膝 内側 痛い 原因

膝内側の痛みは、非常に多くの原因によって引き起こされます。膝関節の構造や役割が複雑で、痛みの原因を特定することが難しいことも珍しくないのです。また病院の検査では異常が認められない膝の痛みをもあります。今回は明確な原因が見当たらない膝痛、特に内側の痛みを引き起こす原因について解説します。

(a)検査で判断できる原因

病院でおこなえる各種検査法による画像診断では、関節内部にある靭帯、骨、軟骨などの状態を判断することができます。膝関節の外観に現れる、判断の難しい微細な炎症や腫脹なども経験豊富な医師によって判断されます。また変形性膝関節症なども変形の程度から医師によって判断することができます。つまり「画像診断」と「外観上の異変」が検査で判断が可能です。

(b)検査で判断が難しい原因

画像診断で判断できない原因としては、画像に写らない筋肉組織が代表的です。つまり筋肉の「硬さ」「ボリューム(発達具合)」と、微細な損傷(小さなケガ)は科学的・医学的な異常所見として判断が難しいのが現状です。また病的とは言えない程度の関節の変形も医師による主観で判断されるため、見解の違いにより「異常なし」と判断されることも珍しくありません。これが「痛みがあるのに異常なし」という状況を作り出すことにつながります。

(c)検査以外の判断は「専門外」

病院での検査で異常が認められないとき、それは「正常」と判断されます。原因が分かれば原因に対する処置が可能ですが、原因が分からない場合は湿布や痛み止め薬しか方法がないのです。また検査で原因が認められない場合、後述する利き足、立ち姿勢、内反変形といった可能性に関する説明はほとんどありません。それは専門外の分野であり、投薬や湿布といった対症療法では改善ができない領域です。

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検査で異常なし。それでも膝の内側が痛む原因とは?

上述の通り、画像診断では異常がみられないは「正常」または「問題なし」と判断されることがあります。しかし実際には膝が痛む現実に対して原因として考えられる要因について解説します。

(a)「利き足」の酷使

脚には「利き足」「軸足」という考え方があります。日常生活ではあまり意識されることが無いかもしれないですが、運動など身体を動かすときには影響が出ます。サッカー競技でボールを蹴る動作や登山で段差の大きい階段(一歩の幅が大きい)など身体に大きなバランスの変動が生じるタイミングでは「利き足」の使用頻度が高くなります。また同じ動作が繰り返されることも大きな要因となります。サッカー、登山、ゴルフ、テニスといった運動のほかにも仕事で重い荷物を持ち上げる(しゃがんだ状態から立ち上がる)なども効き足の「踏ん張り」を利用しています。一方で「軸足」の膝に痛みが出るケースもあります。この場合、腰や背中に「歪み」が存在している可能性が考えられます。状況を分析しながら、どちらの膝に負担がかかっているかを判断することが大切です。

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(b)「立ち姿勢」の偏り

立ち仕事や、立ったまま長時間作業(家事、料理など)する際の「立ち姿勢」が膝の痛みを引き起こすことがあります。上半身の重みが2本の脚に均等に乗っていることが基本です。しかし、長時間立った姿勢ではどちらか片方の脚に重心と傾けがちです。これも「身体の歪み」「癖」の影響を受けるため、人によって左脚だったり右脚だったりします。また立ち姿勢の偏りは人によって腰の痛みとして現れることもあります。立っているときに膝に痛みは無く、階段の上り下りやランニングの際に膝の痛みとして自覚します。立ち姿勢では痛みがなく、ほかのタイミングで痛みを自覚するため「立ち姿勢が原因」であることを認識しにくい特徴があります。一見すると関連が無いように思える要因でも疑うことが必要です。

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(c)足首の「内反変形(ないはんへんけい)」

足首の内反変形とは「足の裏が内向きになる」「足を地面につく際に重心が小指側に集中する」「靴の裏が外側だけ擦り減り具合が強い」といった特徴をもつ足首の形状を意味します。また「足を捻りやすい」「足首の捻挫癖」などがある場合も「内反変形」が考えられます。これは「内反変形が膝の痛みを引き起こす」というよりも「膝の痛みを抱えるひとの特徴の1つとして内反変形がある」ということです。内反変形でありながら、膝の痛みがないケースもあります。膝の痛みを引き起こす大きな要因と考えられるものの、必ず膝の痛みを引き起こすとは限りません。しかし、原因がわからない、または明確な原因が見当たらないケースでは、膝の痛みを引き起こす原因としての可能性を考える価値があります。

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膝の内側の痛みを改善する正しい「脚の使い方」

利き足の酷使、立ち姿勢の偏り、内反変形といった原因の可能性を踏まえて、具体的な対処方法について解説します。

(a)意識的に「軸足」を活用する

膝内側の痛みが「利き足側」であれば、意識的に反対側の「軸足」を使う意識を持つことが大切です。階段の上り下り、しゃがんだ姿勢からの立ち上がりの際に意識的に「軸足」を活用します。運動の場合は「逆向き」の練習を行います。サッカーであれば軸足でボールを蹴る、ゴルフであれば逆打ちを練習することです。膝内側に痛みを抱えている側の脚の負担を軽減すると同時に、筋肉の硬さの「偏り」も防ぐことができます。

(b)人間本来の「両足で立つ」心構え

上述したとおり、たとえ立ち姿勢に偏りがあってどちらか片方の脚に重心を乗せていたとしても、その状態では膝内側に痛みを自覚することがほとんどありません。立ち姿勢の偏り、つまりは「両足で立つ」ことが膝内側に痛みの改善に役立つという認識を持ちにくいかもしれません。しかし、根本原因として可能性のある「立ち姿勢の偏り」を放置したままでは、膝内側の痛みはいつまで経っても改善しないかもしれません。また膝内側に痛みに有効と考えられる治療を受けていたとしても、やはり「両足で立つ」ことが実践できていなければ痛みは繰り返されることになります。これは「意識」するしか方法がありません。膝内側に痛みを改善するために、両足で立つ意識を強く持つことが大切です。

(c)足裏の「親指重心」をマスターする

これも意識の問題ですが、地面に足をつく際に「足の内側」「土踏まずの部分」「親指側」に体重を乗せるように意識します。これを意識して足をつくと「やや内股気味」になるので、親指重心が実践できているかを判断するの1つの基準として考えると良いでしょう。これは意識も大事ですが日ごろからトレーニング感覚で実践し、無意識のうちに「親指重心」で歩けるようなレベルまで訓練することが膝内側に痛みの改善に役立ちます。

登山における「利き足」の酷使が膝内側の痛みを引き起こした事例

(a)概要

約二年間にわたりほぼ毎週のように登山やクライミングに行っている40代男性が膝とふくらはぎの痛みを訴えて来院しました。病院の検査では「異常なし」と診断された事例です。

(b)結果

日常生活での膝、ふくらはぎの痛みは解消されたものの、歩き方の改善や長期縦走(連泊での登山山行)での身体のケアに課題が残る状態で施術を継続しています。

(d)事例の詳細について

【患者データ】
・40代男性
・平均体形
・利き足は「右」
【主訴】
・右ひざ内側の痛み(歩行時)
・あぐら姿勢での膝の痛み
・ふくらはぎ内側の痛み(歩行時)
【発症の経緯】
・登山やクライミングを頻繁におこなっていた
・最初はたまに気になる程度だった
・最近は日常生活でも膝に痛みを感じるようになった
【病院での検査】
・レントゲン検査で「異常なし」
・痛み止め薬と湿布を処方された
・しばらく様子を見て再度受診するように指示された
【右ひざの状態】
・炎症症状なし
・右ひざ内側への刺激で再現痛を確認
・右足での片足立ちで右ひざに再現痛を確認
【その他】
・両足首に内反変形(右足首が強い)
・右脚の筋肉が左脚に比べて太い(肥大、発達)
画像挿入
【アプローチ】
・膝の屈曲、伸展に関連する筋肉を施術
・「利き足」の酷使が原因と判断し「軸足」の活用を指示
・足首の内反変形改善を目的に「親指重心」の歩行を指導
【考察】
病院での検査により、関節内部(半月板、軟骨など)に異常が認められないことが前提として施術をおこないました。反対に、関節内部に問題があるにもかかわらず、筋肉や脚の使い方だけに原因を求めてしまうのは正しい判断とはいえません。今回の症状は「痛みそのもの」の改善はそれほど困難ではありません。このようなケースで難しいのは患者本人が軸足の活用や親指重心の歩行を実践できるかどうかという点です。施術で筋肉へのアプローチを繰り返しても、根本的な原因である「利き足」の酷使や「内反変形」が改善されなければ痛みが繰り返されます。

膝 内側 痛い

膝内側の痛みはケガや加齢といった明確な要因だけでなく、日常生活における「習慣」「癖」によっても引き起こされます。習慣や癖が原因の膝の痛みは、習慣や癖を「改める」ことでしか改善が期待できません。病院の検査で原因が分からないといってあきらめるのではなく、生活の中から原因を探す視点を持ってみましょう。

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