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業界の問題! 整骨院スタッフのマッサージが下手な理由とは

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マッサージ 上手い

マッサージ施術の「上手い・下手」はなぜ生まれるのか。担当したスタッフのマッサージが下手だと損した気分になるだけでなく、施術そのものが不快に感じてしまいます。そこで今回は整骨院のスタッフの技術について解説します。

(a)柔道整復師

整骨院にでは柔道整復師の資格者勤務が必須条件です。院の規模に関わらず、必ず一人は勤務しています。柔道整復師は主に筋肉や骨格の構造について熟知し、筋肉や関節、靭帯などのケガに対応した技術を学校で習得します。

(b)鍼灸指圧あんまマッサージ師

整骨院の中でも「鍼灸整骨院」などと表記されいている院では鍼灸指圧あんまマッサージ師が在籍しています。主に経絡についての知識を取得し、鍼灸による施術を行います。しかし整骨院内ではいわゆるマッサージも通常業務として兼任することがほとんどで、マッサージ施術に加えて鍼灸指圧をおこなうといった位置づけとなります。

(c)無資格者

最近では整骨院での無資格者施術が減少傾向にありますが、以前は当たり前のようにマッサージ施術を行なっていました。また理屈上、ケガに該当しない慰安目的、または美容施術においては「資格不要」という理解が存在します。あくまでも保険治療において有資格者が施術を担当するという考え方です。しかし実際は無資格者に保険治療を担当させている実態が問題となり最近では整骨院スタッフ全員が有資格者であることをアピールする院もあります。

なぜ整骨院のスタッフはマッサージが下手なのか

整骨院で勤務するスタッフの技術には明かな「差」が存在します。整骨院を利用する患者からすれば「全員がプロ」であるはずのスタッフの技術に違いが生まれる要因について解説します。

(a)学校での研修は?

柔道整復師、鍼灸指圧あんまマッサージ師は専門学校で3年間、または大学で4年間かけて勉強し、試験を受けて合格すると資格を獲得できる仕組みです。学校では学ぶことの9割は座学になります。つまり「試験に合格する為の勉強」です。授業の中には「実技」の項目もありますが、あくまでも形式的な内容で、正直いって役に立つ内容ではありません。最近では学校の特徴として「実技に力を入れている」「卒業して即戦力に」などと謳う学校もありますが、あくまでも教科書に記載されているカリキュラムの習得に過ぎないのが現実です。やはり新卒スタッフは使い物にならず、一人前になるには数年は必要になります。

(b)就職先次第?

マッサージの方法や考え方は整骨院、会社、院長、などによって全く違います。そしてそれらは「秘伝のタレ」のごとく「見て盗め」「伝家の宝刀」のように扱われます。学校を卒業して就職した整骨院や会社がしっかりと研修をおこなう場合はまだ良いほうで、現実にはまともに技術を教えてもらえない職場環境も普通に存在します。業界的に師弟関係制度が根強く残り、師匠に気に入られないといつまで経っても技術を習得できないのです。また研修制度が確立されている整骨院や会社でも、やっていることは「施術のマニュアル化」です。どのスタッフが施術を担当しても、患者さんが不満に感じない程度の最低限のクオリティを維持するためのマニュアル化です。例えば「15分で全身をマッサージする」といった内容のマニュアルが一般的です。つまり「痛みを取る」「治す」といった視点が欠如したマニュアルです。

(c)実はセンスの問題?

マッサージの押し方、押すポイント、時間内で施術を完了させる、などはマニュアル化できます。しかし「痛みを取る」「「可動域を拡大する」または「ケガを予防する」などは経験と技術が必要です。ここではわかりやすく「治療」と表現しますがリラクゼーションや時間で区切るマッサージは訓練によってだれでも習得できます。しかし治療はセンスです。仮説を立てて検証することでしか「治療」は成立しないのです。その意味においては治療的なマッサージはとてもクリエイティブな仕事であり、誰にでもできる仕事ではないといえます。整骨院業界には、資格さえ取得すればマッサージができるようになると考えている人間が多く存在します。また学校や職場で習ったことをそのまま習得すれば開業しても患者さんが集まってくると考えている人間も多くいます。恐ろしい感覚ですが、そのような人間にクリエイティブな思考など無いのが現実です。

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マッサージはどこで習得するか

学校を卒業して普通に就職するだけでは技術は身につきません。ではどこで技術を学ぶのか。あなたを担当したスタッフの技量を確かめる基準の1つとして覚えておきましょう。

(a)外部セミナー

マッサージ業界には数多くのセミナーが存在します。かなり特殊な技術を扱う物やインチキまがい、役に立たないセミナーなど多岐にわたります。またセミナーを受けることで満足してしまうセミナーマニアみたいな人間もいます。一概には判断できませんが、自身が所属する整骨院や組織以外のマッサージの考え方や方法を広く知ろうする意識が大切です。多くの考え方に触れ、良いもの悪いものを判断し自分の技術として取り入れる見識の広さは、イエスマンやマニュアル人間には無い大きな特徴です。

(b)社内研修

社内研修は会社や整骨院の規模によって充実具合が大きく異なりますが、先輩が後輩や新人に指導するといったスタイルが一般的です。これは一種の宗教的研修となりがちで、教える側の人間は「うちの院のやり方を教える」「おれのやり方を指導する」という一方通行的指導です。つまり「うちのやり方を真似できるか」どうかが重要で、それ以外の方法や考え方は排除してしまいます。ある段階においてはこのような研修が役に立ちますが、クリエイティブな治療的マッサージを実践する為には様々な角度、視点からのアプローチが必要です。よって社内研修でも外部から講師を呼んでおこなう研修を定期的に実施している整骨院や会社が視野の広いスタッフの育成に役立ちます。

(c)実践

筆者の経験上、実践に勝る経験はないと思います。外部セミナーや書籍、文献など多くの学びを吸収してきましたが、必要なことは全て患者が教えてくれたと感じています。難しい症例の患者では悩み試行錯誤し、その答えを与えてくれるのもまた患者さんを通じての経験です。知識や理論をベースとして、それらを組み合わせて解決に至る経験こそが、学びです。セミナーや研修は受け身の学びです。治療とは自分の頭で考えることがスタートです。あなたが信頼に値するスタッフかどうかを判断する基準は「ちゃんと考えているか」です。どんなに多くセミナーに参加しても、経験年数が長くても、自分の頭で考えない人間はマニュアルを繰り返しているに過ぎません。過去にどんな難しい症例を担当し、どのように改善に導いたかを質問してみるとよいでしょう。

整骨院スタッフのマッサージが下手な理由、それは養成機関である学校、就職する院や会社の研修環境、そしてマニュアル人間であることが大きな問題です。資格を持っているからと言って、全ての資格者が「プロ」とは言えない現実が整骨院業界には存在するのです。

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