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柔整師が回答! 「坐骨神経痛はマッサージで改善しますか?」

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坐骨神経痛 マッサージ

坐骨神経痛は専門の病院でも治療が難しい症状です。一方で発生原因の1つには「筋肉」が含まれることからマッサージによる改善事例もあります。今回はマッサージによる坐骨神経痛の改善について解説します。

(a)障害の発生場所による

坐骨神経痛を引き起こす原因には腰椎の椎間板、梨状筋症候群、その他の筋肉の3つがあります。腰椎の椎間板はマッサージによる手技のアプローチでは改善が難しいと考えられています。カイロプラクティックやストレッチなどで椎間板にアプローチするという考え方も一部ではみられますが、筆者の実感としては非現実的ではないかと考えています。一方で梨状筋症候群やその他の筋肉へのアプローチでは改善がみられるケースも少なくありません。

坐骨神経痛 マッサージ

(b)坐骨神経痛の誤診

坐骨神経痛の診断は非常に難しいものです。また腰椎椎間板ヘルニアや腰椎すべり症といったメインとなる原因の存在があって、結果的に引き起こされるのが坐骨神経痛です。つまりレントゲンやMRIによる検査で腰椎に問題があることを前提に、坐骨神経痛の可能性が検討されるのです。「足に痺れがある」「痺れの範囲が坐骨神経の領域である」といった自覚症状と、検査による腰椎の問題がセットになって「坐骨神経痛ではないか」と判断されます。誤解を恐れずにいえば、正確には坐骨神経痛ではないものでも「坐骨神経痛」と判断されている事例は少なからずあるのではないかと筆者は考えています。しかし医療の世界では「より重症な可能性を選択する」ことも珍しくありません。つまり「坐骨神経痛かどうかはっきりとは判断できないが、坐骨神経痛だと想定して治療方針を決める」といった考え方です。ですので必ずしも間違った判断とは言えません。

(c)マッサージに限らず可能性はある

坐骨神経痛を引き起こす大きな要因は「腰椎」「梨状筋症候群」「その他の筋肉」です。このうち、手術が必要なのは「腰椎」のみで、ほかの2つは手術が選択されませんし、仮に手術を選択しても改善するかどうかはわかりません。手術以外の選択肢としてマッサージがありますが、マッサージに限らず、整体やストレッチなど問題の解決につながる方法であれば可能性はあると考えられます。坐骨神経痛は「坐骨神経への圧迫」が根本原因なので「圧迫」を取り除くことができれば良いのです。つまり大切なのは「腰から足先まで伸びる坐骨神経」の中で「どんな要因(ヘルニア、筋肉の硬さ)」によって「どの場所」が「圧迫」を受けているのかを正確に判断することです。この「場所」や「要因」を分析することができれば、どのような方法であっても改善の可能性につなげることができるといえます。

坐骨神経痛にまつわる話

整骨院を運営する筆者のもとにも「坐骨神経痛かもしれません」と訴える方が訪れます。しかし、話を聞いてみると「果たして坐骨神経痛だろうか?」という疑問を抱くことがあります。

(a)それって坐骨神経痛?

上述の通り、坐骨神経痛ではなくても可能性を考慮して「坐骨神経痛である」と判断されることがあります。患者側は「自分の症状は坐骨神経痛だ」と理解していますが実際には「坐骨神経痛ではなかった」という事例も少なくありません。つまりマッサージ施術によって「坐骨神経痛だとおもっていた症状」が改善されることがあるのです。これをもって「坐骨神経痛を治せる」と表現したいわけではありません。坐骨神経痛はレントゲン検査による判断だけでは正確なことはわかりません。MRIなどの精密検査によって確定診断が出ている場合でも、原因や圧迫の場所によっては改善が期待できます。つまり結果的に「坐骨神経痛ではなかった」「坐骨神経痛が改善された」という事例を考えると「それって本当に坐骨神経痛なの?」という疑問が浮かび上がるのです。

(b)検査で異常なしでも坐骨神経痛?

反対に、検査でまったく問題が見当たらないにも関わらず「坐骨神経痛の可能性がある」と判断されることがあります。検査で異常が見つからないということは主な原因は「梨状筋症候群」「その他の筋肉」の可能性が高いと考えられます。一方で、患者さん自身がインターネットや書籍で調べて「自己判断」したケースがあります。坐骨神経痛の症状でよく使われる「しびれ」「張り感」「違和感」などはとても抽象的な表現です。自身が感じている症状が、インターネットや書籍で表現される症状と「同じとは限らない」のです。また、原因や圧迫の場所によっても症状や経過が異なり、改善の度合いも変化します。つまり「病院の検査」「インターネットや書籍の情報」だけで判断してしまうことはあまりオススメできないのです。

(c)神経の痛みと筋肉の痛み

神経の痛みと筋肉の痛みは判別が難しい場合があります。よくあるケースとしては筋肉の痛みを、神経の痛みと誤認することです。一般的にいえば神経の痛みの方が「鋭い」のでいわゆる「神経痛」を筋肉の痛みと誤認することは少ないですが「弱い神経の痛み」は筋肉の痛みと判別がつきにくい傾向にあります。また反対に「強い筋肉の痛み」は神経の痛みと誤認されやすいといえます。単純な筋肉の痛みを誤認して「坐骨神経痛かもしれない」と考えているケースは案外多いものです。判別の難しい神経と筋肉の痛みの違いを冷静に見極めることが大切です。

坐骨神経痛と判断する前に

坐骨神経痛であるかどうかを判断する簡単な目安があります。

(a)正座の「ビリビリ感」

坐骨神経は長時間の正座をしたあとに感じる足の「ビリビリ感」が代表例です。坐骨神経痛ではこのビリビリ感が常に感じるような状態です。つまりこのビリビリ感よりも痛みやしびれの程度が低い場合は、焦って坐骨神経痛であると判断するのは正しい判断とは言えません。

(b)股関節やお尻の状態

股関節周りやお尻の筋肉の硬さが慢性的に感じられる場合、筋肉の緊張や張り感を坐骨神経痛のビリビリ感と誤認し易い傾向にあります。筋肉の緊張や張り感が坐骨神経痛の症状と異なるかどうかを確認するために、まずは筋肉の緊張と張り感を取り除くことが必要です。

(c)腰痛の延長線

腰痛ではお尻や太もものに痛みが”放散”されることがあります。はじめは腰の痛みだけだったものが、次第にお尻や太ももに痛みが波及する現象です。これも坐骨神経痛の症状と誤認されやすい傾向にあります。まずは腰痛の改善アプローチを検討して、本当に坐骨神経痛の症状であるかどうかを確認しましょう。

坐骨神経痛はマッサージによる施術でも改善されるケースがあります。しかしそれは原因と圧迫の場所によります。この部分の判断を怠ると、治らない坐骨神経痛をいつまでもマッサージ施術で改善を試みたり、反対にマッサージ施術で治る坐骨神経痛を投薬や手術といった方法を選択してしまうという結果になります。ぜひ坐骨神経痛とおもわれる症状の正確な分析を受けてみましょう。

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