(b)坐骨神経痛の誤診
坐骨神経痛の診断は非常に難しいものです。また腰椎椎間板ヘルニアや腰椎すべり症といったメインとなる原因の存在があって、結果的に引き起こされるのが坐骨神経痛です。つまりレントゲンやMRIによる検査で腰椎に問題があることを前提に、坐骨神経痛の可能性が検討されるのです。「足に痺れがある」「痺れの範囲が坐骨神経の領域である」といった自覚症状と、検査による腰椎の問題がセットになって「坐骨神経痛ではないか」と判断されます。誤解を恐れずにいえば、正確には坐骨神経痛ではないものでも「坐骨神経痛」と判断されている事例は少なからずあるのではないかと筆者は考えています。しかし医療の世界では「より重症な可能性を選択する」ことも珍しくありません。つまり「坐骨神経痛かどうかはっきりとは判断できないが、坐骨神経痛だと想定して治療方針を決める」といった考え方です。ですので必ずしも間違った判断とは言えません。